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運転士になるまで(18) 車両基地での実地研修

『運転士になるまでシリーズ』の続きです。

運転士になるための学科講習、基本的には教習所で勉強するのですが、ときには「実地研修」が行われることがあります。具体的には、車両基地へ行き、実物の車両を使って勉強します。今回の記事では、それを説明します。

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  4. 実車試験

机上で学んだ車両の知識を実物で体感するのが目的

「実際に車両を使って勉強する」というと、基地内の線路で車両を操縦して走行させたりするの? と思うかもしれませんが、そうではありません。

学科講習では「車両」という科目があり、車両が積んでいる機器類や、配線などについて学びます。その机上で学んだことを実地で見学するのが、車両基地での研修の目的です。

朝、体操と食事が終わると、講師と一緒に教習所を出発して車両基地へ向かいます。教習所の近くの駅から自社線に乗り、車両基地の最寄駅で下車、そこから歩き。

車両基地は、当然ながら線路沿いにありますが、駅からは少し距離があります。広大な敷地面積の車両基地を、駅のそばには置けませんからね。

到着すると、事務棟内の会議室に通され、車両基地の偉い人に「今日はよろしくお願いします」とみんなで挨拶。

ただし、よろしくお願いしますといっても、車両基地で働く社員、すなわち車両の保守担当者が先生役となっていろいろ教えてくれるのではありません。我々研修生に教えるのは、あくまで講師陣の役割。車両基地の社員は、いつも通りに仕事をしているだけです。

といっても、我々が講習に使うための車両を事前に準備しておくなど、車両基地の社員はけっこう大変なはずです。感謝しないと。

もしかしたら他の鉄道会社だと、車両の保守担当者が先生役となることがあるかもしれませんが、それはわかりません。ここで書いているのは、あくまでウチの会社の話ということをご了承ください。

車両機器・ブレーカー・継電器などを見たり触る

さて、「実物の車両を使って勉強する」と書きましたが、具体的にはどのようなことをするのでしょうか?

車両の床下には、いろいろな機器が積まれているのはご存知でしょう。講師が生徒を引き連れて車両の周りを歩き、「これが○○だぞ」と説明していくのです。

その他にも、継電器(リレー)を見たり、配電盤という場所にあるブレーカーを見たりします。ブレーカーを切ったときに、どのような現象が起きるかの実演も行います。

また、自社で教習所を持つような大手鉄道会社だと、車両は何種類もあるのが普通です。最近の車両は、いわゆる「交流モーター」の車両が一般的ですが、私の時代は「直流モーター」の車両も多く残っていました。車両によって搭載している機器類や配置は違いますから、そのあたりも勉強するわけです。

私のクラスは31人でしたが、全員が一つにまとまって動くと、たとえば機器の周りにみんなが群がったとき、後ろの方にいる人から見えません。というわけで、担任講師と副担任講師の2人がそれぞれ15~16人を率いて、2グループに別れて動きました。

昼食のメニューは「ゴムの天ぷら丼」!?

車両基地での研修は夕方まで続きます。そのため、昼食は車両基地の社員食堂で食べます。

いつもの教習所の食堂ではなく、たまには違う場所でメシを食うのも気分転換になっておもしろいかな。そんなことを思っていると、ここの食堂で食事をしたことのある経験者が一言。

「ここのメシはクソ不味いよ」

ふっ、俺にそんな脅しは通用しませんぜ? 教習所の食事も、何人かは「不味い」と言っていましたが、私に言わせれば、可もなく不可もなくの味。他人の言う美味い不味いなんて、あまりアテにならないものさ。

さて、この日のランチメニューは「穴子の天丼」でした。もう10年以上前の話です。それなのに、なぜ私はちゃんとメニューまで覚えているのか?

クソ不味かったからです

いや、ご飯を作ってもらいながら「不味い」などと言うのは言語道断。それはよくわかっています。しかし、それを承知の上でどうしても言わせてほしい。

車両基地の社員、よくこのメシで耐えられるな

穴子の天ぷらの食感がヤバイ。食感がまるでゴムみたい。

これ、ゴムの天ぷら?

どうやったらこんな食感になるのか、逆にすごい。しかも、作り置きのため冷めている。天ぷらって、冷めると味がグッと落ちますよね。

そして……天丼のタレが全然かかっていないため、味がない。白飯にゴムの天ぷら穴子の天ぷらがのっているだけといっても過言ではない。アレですね、例えるなら、醤油を使わずに寿司を食べるようなもの。

タレくらいケチるなあああ

さすがにこの天丼はツラい。卓上にあった塩をかけて味を誤魔化し、私はなんとか完食しましたが、残している人が何人もいました。

車両基地での実習で学んだこと(笑)

この昼飯以外にもツラいことがありました。昼寝ができないことです。

教習所だと、昼食を終えてから寮に戻り、自室でベッドに転がって昼寝ができます。しかし、車両基地だとそれができません。あてがわれた会議室で、机に突っ伏して寝るくらいですが、この格好はなかなか眠れません。

これら昼休みの出来事で、午後の研修ではモチベーションがダダ下がりになったことを、よく覚えています。早く帰りたくてしょうがなかったです。

食欲と睡眠欲といえば、人間の三大欲求のうちの二つですが、それらが満たされないのがいかに辛いか、いい勉強になりました。車両のことを勉強しに行ったはずなのに、私の中に「学び」として残っているのはそれだけです(笑)

今回の記事はここまでです。


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