ダイヤがぐちゃぐちゃに乱れると、駅弁の差し入れをゲットできる
何を言っているのか意味不明だと思いますが(笑) 今回は、国鉄出身者から聞いた昔話を紹介しましょう。テーマは車内販売・駅弁です。
近年ほぼ廃止の車内販売 かつては普通に行われていた
近年は衰退の一途をたどっていますが、かつては普通に行われていた車内販売。ワゴンに駅弁や飲み物、お土産なんかが乗せられ、販売員が「お弁当・お飲み物はいかがですか?」と言いながら客席まで回ってくるアレですね。
新幹線では現在も残っていますが、在来線では絶滅状態で、私のようなオッサン世代以上じゃないと、経験がないと思います。
列車の速度向上による目的地への速達化、コンビニや駅ナカの発達。これらによって車内販売の価値は相対的に下がり、採算が取れにくくなり、やがて合理化の名のもとに廃止されていきました。
ダイヤが大乱れすると特急が運休 車販用の駅弁は?
裏を返すと、昔は「駅の売店に置かれる駅弁」だけでなく、「列車に積み込まれる駅弁」がそれなりにあったわけです。
この「列車に積み込まれる駅弁」ですが、もし積み込まれるはずだった列車が運休になったら、どうなってしまうのか?
たとえば、人身事故や自然災害等でダイヤがぐちゃぐちゃに乱れた場合、列車を運休にすることがあります。通常、駅弁などの車内販売が行われるのは特急列車です。特急列車は「重要な使命を持った列車」なので、ダイヤが乱れても、なるべく運休にせず走らせます。
といっても限度があり、特急列車を運休にせざるを得ない場面は、どうしてもあります。こうした場合、特急列車に積まれるはずだった駅弁の運命はいかに?
捨てるくらいならタダであげてしまえ 鉄道の現場に差し入れ
駅弁という商品は、基本的に“寿命”が短いですよね。したがって、行き場を失った駅弁は廃棄になる可能性が高い。
もちろん、駅の売店に回すなどして、なんとか売り捌こうとは努力するはずです。しかし、駅の売店でも、もともと売れると見込んだ数だけ発注していますから、そこに商品を追加されても完売の可能性は低いでしょう。
売れないまま期限切れでゴミになるくらいなら、タダでもいいので誰かにあげた方がいいですね。そこで、鉄道の現場(詰め所や休憩室)に差し入れという形であげてしまうことがあったそうです。
もっとも、食べているヒマはありません。特急列車が運休になるのは、ダイヤが相当に乱れている証拠ですから、仕事が忙しくてメシどころじゃない。結局、ダイヤが平常に戻るまでは、差し入れの駅弁は放置されたままです。
ダイヤが乱れた場合にメシ抜きなのは、現代でも普通の話です。私は指令員という仕事をしていますが、メシの途中に「戻ってきて!」と呼び返され、机に食べかけの弁当が広げられたまま、なんて経験は数え切れません。
(もっとも、トラブル時にメシ抜きは鉄道マンに限った話ではないでしょう)