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鉄道会社が造るクラフトビール 近鉄奈良駅前『大和醸造』

近畿日本鉄道(近鉄)といえば、鉄道以外にもさまざまな事業を営んでいます。ホテル業やレジャー、不動産に流通業。日常生活でお世話になっている人も多いのではないでしょうか。

しかし、まさか酒造りまで手掛けているとは。

そうなんです。実は近鉄グループでは、クラフトビールの醸造まで行なっているのです。鉄道会社が酒を造る。なんだか意外ですが、そこがおもしろい。

造られたクラフトビールは、近鉄奈良駅前にある『大和醸造』という店で飲むことができます。この店の訪問レポが今回の記事です。鉄道会社が手掛けるビール、その実力やいかにっ!?

【基礎知識】クラフトビールってなに?

そもそもクラフトビールって何ぞや? と疑問を抱く人がいるでしょうから、ちょっと説明を。

クラフトビールの正確な定義は難しいですが、一般的には、小規模の醸造所で何らかのこだわりをもって造られたビールを指します。焼酎なんかでもありますよね。小さな醸造所が造るこだわりの“作品”が。あれのビール版だと想像してもらえれば。

大手メーカーのビールが「全国展開のチェーン店」だとすれば、クラフトビールは「こだわり職人の個人経営店」という感じでしょうか。

日本では大手メーカーが造るビールが幅を利かせていて、クラフトビールのシェアは1~2%程度らしいです。

ビールというと、「じっくり味わう」ことをせず、惰性で喉に流し込むような飲み方をする人が多いのではないでしょうか。しかし、クラフトビールは飲むこと・味わうこと自体がとても楽しめるんですよ。味や香りがそれぞれ大きく違い、大手メーカーのビールにはない冒険的要素も含まれています。

実は、我が家の近くにもクラフトビールを飲ませる店があって、私のお気に入りです。

あ、誤解しないでほしいのですが、大手メーカーのビールよりもクラフトビールの方が優れている、と言いたいわけじゃないですよ。それぞれに良さがあります。クラフトビールは多様性や自由度の高さが魅力ですね。

4種のビール飲み比べセットを注文 ビールに合うつまみも付く

クラフトビールの説明はこのくらいにして、近鉄グループの『大和醸造』訪問レポに入りましょう。近鉄奈良駅の地下改札口を出て、1~2分で到着できる場所にあります。

クラフトビールという単語を派手に掲出しているわけではないので、パッと見では、クラフトビールを飲める店であることがわかりにくいなぁ、というのが正直な感想。

そして、この店の特徴は……

店に醸造所(ビール工房)が併設されていること。──と言うより、醸造所に飲食スペースを併設したと表現する方が正しいか。店内からは醸造所が丸見えで、作業風景も眺めることができます。

さてメニュー。『大和醸造』では数種類のクラフトビールを造っており、そのうちの4種を飲み比べできる「飲み比べセット」なるものがあります。

飲み比べセットで提供されるビールは、以下の4種です。

  • ペールエール
  • セゾン
  • スタウト
  • インディアンペールエール(IPA)

そして、単にビールの飲み比べができるだけでなく、それぞれのビールに合うつまみも一緒に提供されます。クラフトビールの味がわからない場合でも、マッチするつまみを自動でチョイスしてくれる。初心者にも安心な仕様ですね。

私もこれを注文。周りを見回しても、この「飲み比べセット」を注文している人が多かったです。

ビールの感想を紹介 そしてつまみとの相性は?

ビールとつまみは同時到着ではなく、先にビールだけやってきました。

つまみを待ちきれないので、飲み始めちゃいます。それぞれのビール、飲んだ感想を述べていきましょう。まずはペールエール。

ペールエールは、スーッと来る爽やかな香りが特徴的でした。説明文に「柑橘類」という言葉がありましたが、なるほど、そんな感じです。続いてはセゾンを飲みます。

セゾンは、何かの要素が突出しているのではなく、バランス重視型との印象を受けました。4種の中では、大手メーカーのビールに一番近い味がします。お次はスタウト。

スタウトは、いわゆる黒ビールですね。クリーミーな舌触りで、甘さと苦さが同居しているのが味わいのキモ。最後にインディアンペールエール(IPA)。

IPAの特徴は、なんといっても苦味。弾けるような強烈な苦味が押し寄せてくるッ。それが炭酸とマッチしてたまらない。好き嫌いは別れるかもしれませんが、私は「どこかが突出した系」の酒が好きなので、IPAは大いに推します。

一通りビールを味わったところで、つまみ軍団が登場です。

それぞれのビールに合うつまみがやってきたわけですが……スタウト(黒ビール)の相棒は、クリームチーズと、なんとガトーショコラ! チョコレートの登場です。

こんなの絶対おかしいよ

いや、「酒のつまみにチョコ」がアリなことは知っています。しかし、それはワインやウイスキーの話であって、チョコをつまみにビールというのは、私の感覚では正直ちょっと受け入れ難い。

まあ、とりあえずスタウトとチョコは置いときましょう。ペールエールにはアボカドブルスケッタ、セゾンにはカマンベールチーズのフリット、IPAにはよだれ鶏。それぞれの組み合わせでいただきます。

美味いっ!!
そしてビールとつまみが合う!!

1+1が3にも4にもなるとは、こういうことか。両者の組み合わせが味わいに膨らみをもたらす、酒とつまみの有効なマリアージュ……。ビールでそういう点を意識したことは正直あまりなかったですが、実際に経験してみると、面白いものですね。

試しに「違う組み合わせ」をやってみたところ、ビールとつまみの間に繋がりが感じられず、脈絡なくシーンが切り替わってしまう印象でした。本で例えるなら、次のページをめくるのではなく、本そのものがチェンジされてしまう。

さあ、いよいよスタウトとチョコレートです。パクッゴクゴク

!?!?!? 馬鹿な!!
ビールとチョコが合うだと!?

クリーミーで甘苦いスタウトが、ガトーショコラのまったりとした甘さを上手に包み込んでいます。ビールとチョコが合う。そんなことがあっていいのか? と思いつつ、この相性の良さは認めざるをえません。

クラフトビールとつまみを一通り堪能したところで、ソーセージが到着。セットのつまみだけでは寂しいと思い、別途注文しておきました。

こんなの絶対美味しいよ

ソーセージとビールは黄金コンビですが、クラフトビールとの組み合わせはどうか? パリッモグモグゴクゴク

うーむ、スタウトやIPAとは香りが反発しあって喧嘩するのでイマイチか? セゾンとは可もなく不可もなくの印象。一番相性が良いのはペールエールか。ただ、こういうソーセージは、大手メーカーのビールの方が合う気がしました。

プハーごちそうさまでした。今回注文していないクラフトビールとフードメニューもまだまだあり、一度の訪問だけですべてを堪能するのは無理ですね。また機会があれば行きたいです。

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