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なぜ列車は昼間でもライトを点けているのか?

みなさんが真っ昼間に自動車を運転しているとき、対向車がライトを点灯させていたら、どう感じます?

「なんだあの車、変なの」

そう感じるのが普通だと思います。

ところが、「昼間にライトを点けるのはおかしい」と思ったアナタ! 朝の通勤時間や昼間、つまり明るい時間帯に、列車がライトを点けて走っているのは変だと思いませんか?

思いませんか?

思わないのですかぁッ!?
(↑右京さん風にキレ気味)

列車のライトは「列車標識」と呼ばれるもの

列車は、明るい時間帯でもライトを点けて走っています。もはや当たり前すぎる光景なので、疑問に感じる人はいないかもしれませんが、よく考えたら変ですね。

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なぜ、列車は明るい時間帯でもライトを点けるのか?

まず、自動車の話からいきましょう。自動車を運転するとき、ライトを点ける主な目的は「暗闇を照らして視界を確保する」ですね。

これに対して列車のライトですが……実はあれ、点灯させる目的はまったく別です。列車のライトは前を照らすために点灯させているのではなく、列車標識と呼ばれるものなのです。

「列車としての条件」を満たすためにライトを点けている

「列車標識」という用語が出てきましたが、ちょっと難しいです(^^;)

鉄道の運転業務では、「列車」という概念が存在します。「これこれの条件を満たさないと『列車』とは認められない」というものです。その、列車として成立するための条件の一つが「列車標識を表示すること」なのです。

「わけわかんね」と思うでしょうが(^^;) 簡単に言えば、ライトを点灯させないと列車にならないのです。そして、列車たる条件を満たさないと、車両基地から出て営業列車などの任に就くことができません。だから列車は、昼間でもライトを点けているのです。

このあたりの話は、人間に例えるなら身だしなみに相当します。

夏の時期、私は家ではパンツ一丁で過ごしたりしますが キャー パンツ一丁は家の中ではOKでも、外に出るのはアウトですよね。外出したければ、顔を洗う・服を着る・靴を履くなどして、ちゃんと身だしなみを整えなければいけません。

鉄道車両もそれと同様に、車両基地という“家”から“外出”するためには、身だしなみを整える必要があります。外出のための身だしなみを整えた状態の車両を「列車」と呼びます。

その身だしなみの条件の一つが「列車標識の表示」、つまりライトを点灯させることなのです。ですから、列車がライトを点灯させている目的は人間風に言えば身だしなみのためであって、前を照らして視界を確保するためではありません。

もちろん、ライトを点灯させれば前方は見やすくなりますが、それは直接の目的ではなくて副次的な効果なのですね。

前部標識=白 後部標識=赤

なお、列車標識は前・後の両方に表示しなければいけません。

列車の前 = 進行方向最前部には「前部標識」という白色灯を表示する。列車の後ろ = 尻の部分には「後部標識」という赤色灯を表示する。これによって前後が判別できるわけです。

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写真左の列車(赤色灯)は奥方向へ、右の列車(白色灯)は手前方向へ進むことがわかる

どの鉄道でも判で押したように、前は白色灯・後ろは赤色灯。列車のライトは白と赤ばっかで芸がない! もっとカラフルに他の色も使わんかい! ……と思う人がいるかもしれませんが、この白・赤も実はルールで決まっており、変えられません。

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本記事の写真提供 結城しげくにさん

本記事内の写真は、はてなブロガー・結城しげくにさんが運営する『もこもこ鉄旅部。』からお借りしました。使用の許可をいただき、ありがとうございました。

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