「日本の鉄道は時間通りに走ってくれる。定時性が高い」などと言われますが、鉄道の仕事と切っても切れないのが時計です。
たとえば乗務員は、時計が“相棒”です。列車は「時・分・秒」で運転時刻が指定されており、それと時計を対照しながら列車を動かすためです。
というわけで今回の記事のテーマは時計なのですが、具体的には腕時計について語ります。
社会人ならば腕時計の一つは持っていると思いますが、「どーいう腕時計でもいい」というわけにはいかないでしょう。やはり、仕事に応じて必要な機能を搭載したものを用意したいところ。
では、鉄道マンとして仕事をするにあたっては、どういう機能を備えた腕時計が適してるのか? 個人的な経験から、それを解説します。鉄道会社に就職する学生さんの参考になれば。
結論から書くと、以下の機能が揃っていると便利です。
- アナログ時計
- 暗闇でも針が光って見える
- アラーム機能付き
- 日付と曜日が確認できる
- ソーラー充電ができる
① 針で時刻を読むアナログ時計の方がベター
機能とはちょっと違いますが、まず前提として、アナログ時計とデジタル時計のどちらがよいか?
これはアナログです。
というのは、デジタル時計だと、光の加減によっては3が9に見えたり、7が1に見えたりすることがあります。つまり見間違えるリスクが存在する。そういう理由で、デジタルは推奨しませんね。アナログの方がベターです。
ただし、アナログ時計にデジタル液晶表示部分も付いているタイプなら別に構いません。↓みたいな感じの。ようは針で時刻を見れればよいと。
② 暗い中でも針が見えるタイプがよい
そして、時計の針には蛍光塗料(?)が塗ってあり、暗闇でも時刻を読めるのが望ましい。
たとえば乗務員だと、まだ陽が昇っていないうちに外を歩くとか、夜間の乗務員室とか、ようは暗い状況で仕事をすることが多々あります。そういうときに時計が読みにくいと不便だからです。まあ、まったく光がないガチの真っ暗闇で仕事をするわけではないので、大丈夫と言えば大丈夫ですが。
③ アラーム機能で「出場遅延」を防ぐ
それから乗務員目線だと、アラーム機能が付いた腕時計が便利です。「出場遅延」を防ぐためです。
駅ホームで乗務員が交代しているシーン、見たことありませんか? あれ、もし交代乗務員が(時刻や場所を間違えて)不在だったら、列車を発車させることができず、エラいことになります。
これを業界用語で「出場遅延」と呼びますが、お客さんには迷惑がかかるし、やらかした乗務員は厳しく事情聴取されて人事記録にもバッテンがつくため、絶対に避けなければいけません。
(ちなみに、出場遅延で列車を出発させられない場合、バカ正直に「交代乗務員がいないため……」と案内放送はしませんね。安全確認とか車両の機器確認とか、フワッとした言葉で誤魔化します 笑)
乗務員は休憩に入る前に、「次に行く場所は○○で、ここを何時何分に出る」を必ず確認します。確認するだけではなくて、失念防止のためにアラームをセットするのが一般的です。
そこで、アラーム機能がある腕時計の出番というわけ。
「アラームならスマホを使えばいいじゃん」と思うでしょうが、スマホをいちいち取り出すよりも、腕時計でサッと設定できた方が便利です。
それに、仕事中は会社側が個人のスマホを預かるケースもあります。「運転士が運転中にスマホを操作」なんてニュースがたまにありますよね。そういうことを起こさないための対策です。まあ、業務用スマホは支給されるので、それでアラームをかけてもいいですが。
④ 日付と曜日も確認できると便利
ここまで乗務員目線で書いてきましたが、他の職種の視点からも一つ。
冒頭でも書いたように、列車は「時・分・秒」で運転時刻が指定されており、乗務員はそれと時計を対照しながら列車を動かします。「時」はよほどのことがない限り間違えないため、乗務員は時計の「分・秒」をメインで見ます。
これに対し、直接列車の操縦に携わらない職種──たとえば、列車の運行管理を行う指令員や、乗務員を管理する部署だと、話が違います。「分」を確認することは普通にありますが、「秒」まで見て仕事をすることは、まずないですね。
それよりも頻繁に見るのが「日付」と「曜日」です。
「今日は○○の7日前。あの件の手配をしとくか」
「金曜日なので○○の作業をしなきゃ」
こんな感じで、日付と曜日をチェックしながら仕事することが非常に多くなります。そのため、「今日は何日・何曜日」をパッと確認できると便利です。
そこで腕時計。私の腕時計には液晶表示部分があって、そこに日付と曜日が表示されるようになっています。これが重宝するんですよ。↓みたいなやつです。
乗務員の仕事だけではなく、将来まで見据えるなら、日付と曜日も確認できる腕時計を買いましょう。
⑤ ソーラー充電できると電池交換の手間が不要
最後に、ソーラー充電できる機能。よっぽどないとは思いますが、仕事中に電池切れで腕時計が止まってしまうと厄介です。ソーラー充電できるタイプなら、そうした心配はありません。
私の腕時計もソーラータイプで、買ってから今まで一度も電池交換せず動き続けています。故障等で何かのメンテに出したこともありません。一回も止まってないって、よく考えたら偉大ですよね。この小さな時計の中に、高度な技術がたくさん詰め込まれているんだろうなぁ。
鉄道マンにとって腕時計は相棒 「良い買い物」をしてほしい
というわけで、鉄道マンにとって便利な腕時計の機能とは何ぞや? について説明してきました。
- アナログ時計
- 暗闇でも針が光って見える
- アラーム機能付き
- 日付と曜日が確認できる
- ソーラー充電ができる
私の腕時計は、これらの機能をすべて備えています。もちろん、就職前に購入したときにそこまで見通していたわけではなく、たまたまですけどね……。一度も買い替えることなく、鉄道マンとしての時をすべて共に過ごしてきた“相棒”です。おそらく、退職時まで使い続けることでしょう。
これから鉄道マンになる人は、この記事を参考にして「一生モノの良い買い物」をしてください。
最後になりますが、「必要」ではなく「不要」な機能にも触れておきましょう。鉄道マンの腕時計に、以下のような機能はいりません。
- 麻酔針を発射する機能