今回の記事では、みなさんの仕事に役立つかもしれない内容を書きます。これから社会人になる学生さんも、覚えておいて損はありません。
私は列車の運行を司る指令という仕事をしていますが、電話や無線機での通話がとても多いです。通話相手からの報告や要請を受け、対応を行います。
この、電話を受けて相手と会話をする際ですが、コツがあります。相手が話した内容を大声で復唱することです。
たとえば、通話相手から「○○の手配をお願いします」と頼まれたとします。このとき、「了解しました。手配します」みたいな返し方はダメ。「○○の手配が必要なんですね」と大きな声で復唱するのが良い対応です。
大声で復唱 → 周囲に情報をバラまくことで共有し迅速な対応が可能
通話相手が喋った内容を、大声で復唱する。この行為の目的を一言でいうと、周囲に情報をバラまくためです。
私の勤める指令室では、たくさんの人が一緒に働いています。つまりチームプレイなのですが、その際に大事なのは情報共有です。「いま何が起きたか」「いま何を求められているか」をみんなで共有してこそ、迅速・適切な対応が可能になります。
電話を受けた際に、「はい、了解しました」の応答方だと、周りの人からすれば「いま何の話をしてるんだ?」となります。
「△△が起きたんで○○の手配が必要なんですね」と電話口で大声で応答すれば、周りの人も、「あーそういうことか」と理解でき、それが情報共有 → 動き出しの速さにつながります。
どちらの応答方が優れているか、言うまでもありません。
言われてみれば簡単な話でしょう。仕事術と呼ぶのも憚られるような内容です。しかし、こういう基礎をキッチリ実行できるかどうかで、対応のスピードや正確性が違ってくるんですよ。特に異常時は。
これが、自分が電話を取ったときの心得です。
周囲の人は耳をダンボにして通話内容を聞くべし
このように、電話している人が情報をバラまいてくれるので、周りで聞いている人も内容を把握するよう努めなければいけません。「自分は電話を受けていないから関係ない」ではなく、耳を澄ませて他の人が話している内容を把握しろ、というわけです。
私は新人指令員の頃に、「ダンボのように耳を大きくして周りの会話を拾え」と上司から言われました。
ダンボって知ってます? ディズニー映画に出てくる象のキャラクターで、耳がとても大きいのが特徴です。
なぜかはわかりませんが、この話になると、年配指令員は必ずダンボを持ち出してきます。
耳が大きい = ダンボ。確かにそうですが……ぶっちゃけダンボは古いでしょ(笑) 若い世代だと、知らない人もいるのでは。耳が大きいキャラクターの代表格として、いつまでもダンボを引っ張り出してくるのはいかがなものか。令和向けに、シナモロールとかでよいのでは。
「シナモロールのように耳を大きくして周りの会話を拾え」。……うーん、ちょっと締まりに欠けるか(^^;)
というか、物理的に耳が大きい必要はなくて、ようは「周囲の会話を拾う感度の良さ」を求めているわけで。それならば、『るろうに剣心』の魚沼宇水さんあたりに登場願った方が、若い人は共感してくれる気がします。あそこまで耳が良い必要はないんですが(笑)
※魚沼宇水(うおぬま・うすい) マンガ『るろうに剣心』に登場する敵キャラクター。目が見えないが、その分とても耳が良い。数㎞先の小川のせせらぎまで聞こえるほどの異常聴覚。骨や筋肉の発する音から、対戦相手の動きや体勢を読み取って応戦する。心臓の音も聞き取ることができ、心拍数の変化で相手の心理を推し量る。