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「だろう思考」ではなく「かも思考」の大切さ 3歳の姪っ子に学ぶ(?)

昨日、近所の児童施設で開かれた「七夕会」に行ってきました。未就学児とその親で参加できる催しです。私+妻+ウチの娘+姪っ子(3歳)の4人で行きました。

え、なんで姪っ子までいるの?

姪っ子の父親は平日(金曜日)なので仕事、母親は用事があって外出しなければならないというわけで、ウチで預かることにしたんですね。で、その日にちょうど近所の施設で七夕会が開かれるから4人で行ってみるべ、という流れ。

その催しで、素直に感心した出来事があったので、それについて書いてみます。

「ゴードンかもよ?」 姪っ子の鋭い一言

七夕会では、彦星と織姫の劇を見たり、ちょっとしたゲームをやったり、七夕の歌を歌ったり。「さーさーのは さーらさらー♪」なんて久しぶりに聞いたよ。

その中で、「天の川に隠れてるのは何かな?」という当てっこをするゲームがありました。

小さな窓枠に、短く切ったビニールテープが上から何本も垂らされていて、カーテンみたいになっていました。垂らされたビニールテープのカーテンの隙間から、ちょっとだけ向こう側が見えるようになっています。そして、ビニールテープのカーテンの奥に人形を置いて、「これは何かな~?」と当てるゲームです。

最初はアンパンマンの人形でした。
その次はしまじろうの人形。

そして3問目、隙間からは、青いボディーに顔がついた機関車が見えます。ああ、アレね。トーマスだろう。このとき私は、特に深く考えずにそう思いました。

「トーマス!」
「トーマス!」

周りの子どもたちも、口々に叫びます。ところが、私の膝に座っていた姪っ子が一言。

「ゴードンかもよ?」

 !!?

……いやいや、これには素直に驚きました。なにがすごいって、齢3で「~かも」の思考ができているところです。

「だろう思考」での確認行為は確認にならない

鉄道会社に限らないと思いますが、ある程度の経験を積めば、根本的な知識不足や勘違いで起きるミスは、ほとんどなくなります。

では中堅やベテランがなぜミスをするかというと、「だろう思考」が原因であることが多いです。

いままでやらかした自分のミスや、私が目にしてきた同僚のミスも、「いつもこうだから今回もこうだろう」という類のものが多い。確認をしているつもりでも、この「だろう思考」が裏側にあるせいで、意識的な確認に全然なっていなかったりします。

ウチの鉄道会社であった具体例をあげるとすると、「行先表示幕の設定ミス」ですかね。

列車は終着駅に到着すると行先が変わるので、行先表示幕を新しい行先に変える必要があります。乗務員が、運転台の操作盤で行先を変えています。

ところが……これを間違った行先表示にしてしまうミスがあります。
(たぶん、ウチの会社に限らず、全国どこの鉄道会社でもあるはずです)

いや、ミスをした乗務員に聴取しても、「確認動作」はちゃんと行なっているんですよ。行先表示幕を変えた後は、車両の外に出て「行先表示○○ヨシ!」みたいに指さして声出し確認することになっています。駅の監視カメラの録画映像などでチェックしても、そういう確認動作はしているのです。

しかし、実際は間違った行先表示に気付かず、そのままスルーしている。つまり、「合っているだろう」という前提で確認行為をしているわけです。それは確認行為といえるのでしょうか?

こうしたミスをなくすためには、「だろう思考」ではなく「かも思考」で仕事をすることが必要です。

人間は必ずミスをするという前提を忘れるな!

「人の振り見て我が振り直せ」ではありませんが、私も「これで大丈夫だろう」ではなく、「どこかに手落ちがあるかも」と考えて、緊張感の伴った仕事をするように心掛けています。

もちろん、そこは程度の問題です。
いつまでも「~かも、~かも」と考えていたら仕事が進みませんから。しかし、「かも思考」を意識しているのとしていないのでは、仕事の仕上がりの質がまったく違ってきます。

ずいぶん昔ですが、上司から言われたことがあります。

「人間は誰でもミスをする。だから、『上司や先輩がやった仕事だから大丈夫』という考え方は絶対にするな」

「他人のやった仕事をチェックするときは、間違いがあるという前提でチェックしろ」

「それは相手の人間性を疑うとか、粗探しをするとか、そういう意味じゃない。ミスをしない人間なんていないからだ」

この教えは、私の考え方の中でも大きな柱となっているものです。ここまで大きな事故をやらかすことなく、無事に鉄道マンを続けられてきたのは、この教えがあったからといっても過言ではありません。

あらゆる可能性を一度は考えることが大切

……と、さんざん偉そうなことを言いましたが、私も「だろう思考」に陥っていますよね。「青いボディーで顔がついた機関車は、トーマスだろう」という思い込みで、それ以外の可能性(=姪っ子の言ったゴードン)を最初から排除してしまったのですから。

これは姪っ子に教えられました。
素直に反省です。

いや、実際、正解がトーマスかゴードンかはどっちでもいいのです。「かも思考」に基づいて、いろいろな可能性を考えることが大事なわけで。

それにしても姪っ子、齢3でコイツすげぇな~、ウチの娘にも見習ってほしいな~、と思っていたら、カーテンの奥から出てきたのは……あれはゴードンではないな。やっぱり順当にトーマスか。つーか子ども相手のイベントで、そんなにひねった問題は出さんわな。 

しかし、車体に書いてあったナンバーは「2」。トーマスのナンバーは「1」だから、トーマスでもない。ナンバー2……

エドワードかよ(笑)

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