少女は、「空を飛んでいたら雨が降って来たので雨宿りをしていた。いつの間にか眠ってしまった」と話し、反省の態度を見せているという。
ジブリ映画『魔女の宅急便』の冒頭で、キキとジジが雨に降られて貨物列車の中に逃げ込むシーンは、みなさんご存知でしょう。一歩間違えれば、↑のようなニュースになっていてもおかしくなかった(笑)
今回の記事では、この名作映画から学べる鉄道雑学を紹介します。
【疑問】なぜ生きたままの家畜を列車で運ぶのか?
キキとジジが雨宿りのために潜り込んだのは、家畜運搬車とでも呼べる貨物列車でした。生きたままの牛が運ばれていましたよね。
このシーン、「なぜ、生きたままの家畜を運んでいるのか?」と疑問に思ったことはないですか?
現実世界でも、昔は実際に列車で家畜運搬が行われていました。しかし、少なくとも現代日本においては、すでに家畜運搬の貨物列車は消滅しています。
一説によると、『魔女の宅急便』は1960年代の世界をモデルにしたらしいですが、どうして昔は、生きたままの家畜を運んでいたのでしょうか?
【答え】冷蔵・冷凍技術や物流体系が未発達だったから
答えを一言でいえば、「冷蔵・冷凍技術や物流体系が未発達の時代だったから」。
現代では冷蔵・冷凍技術が発達し、物流体系も整っていますから、家畜を屠殺して肉にする「生産地」と、肉を食べる「消費地」が離れていても問題ありません。
しかし、冷蔵・冷凍技術や物流体系が未発達だった時代では、生産地と消費地が離れていると、肉が傷んでしまいます。そのため、家畜を生きたまま消費地に運び、そこで屠殺して肉にしていた、というわけ。
いわゆるコールドチェーンと呼ばれる「低温物流体系」が発展していったのは1960~70年代。それに伴って、家畜運搬の列車は衰退していきます。物語のモデルが1960年代なら、まだ家畜運搬の列車が走っていても不思議ではありません。
というわけで、『魔女の宅急便』から学べる鉄道雑学でした。
雑学① 日本で冷凍食品が注目されたきっかけは東京オリンピック
コールドチェーンの話が出たので、鉄道とは無関係ですが、本で読んだ雑学を一つ。
1964(昭和39)年の東京オリンピックでは、選手の食事のために大量の食材を確保する必要がありました。しかし、ある時期に一気に食材を調達すると、市場が混乱します。そのため、事前に少しずつ食材を買い込んで冷凍し、備蓄しておいたのだとか。これを機に、冷凍食品が注目されていったそうです。
雑学② ホルスタインは乳牛だけでなく肉牛にもなる
もう一つ雑学。
キキの足をペロペロしていた牛は、白と黒の模様でしたから、おそらくホルスタイン種だと思われます。ホルスタインというと、日本では乳牛のイメージが強いですが、ネットで調べたら、外国では肉牛としても用いられるようです。へぇー。
【余談】キキは13歳で相当しっかりしている
あとは余談。
ある程度の社会人経験を重ねてから『魔女の宅急便』を見直してみると、13歳のキキがしっかりしていることに驚かされます。挨拶や礼儀はもちろん、電話での受け答えや敬語の使い方──「お伺いします」「ご住所承ります」「参りました、奥様」など──もバッチリ。
電話は苦手だから、取らなくていいですか?
敬語わかんないんで、タメ口でいいッスか?
そんなことをホザく若者は、キキを見習え!
キキは劇中で「私、空を飛ぶしか能がないでしょ?」と言っていましたが、とんでもない。キキみたいに基礎がしっかりしており、真面目で一生懸命、かつ行動力もあるとなれば、だいたいの仕事で通用するでしょう。「おカネだけもらえないよ」と言えるプロ意識もいい。
私が人事だったら、こーいう子を採用したいですね。かわいいし、フヒヒ
ニシンとカボチャの包み焼きの奥様が、キキの手際を見て「お母様の仕込みがいいのね」と感心していましたが、私も同感です。キッキはマッマに厳しく躾けられたのでしょう。ウチの娘も、ああいうふうに育てないとなあ。
関連記事
『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』 東都鉄道指令室の対応にツッコむ!