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『時計じかけの摩天楼』 お粗末すぎた劇中の鉄道爆破テロ計画

2021(令和3)年2月5日、映画『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』が金曜ロードショーで放送されました。『爆発』は春の季語を定着させたコナン映画の、記念すべき第一作目ですね。もう24年前の映画なのか。

最近はコナンを読んでいませんが、まだ黒の組織を追い掛けているのだろうか? 早く捕まえろよ……。

劇場版 名探偵コナン 時計じかけの摩天楼

劇場版 名探偵コナン 時計じかけの摩天楼

  • 発売日: 2017/04/08
  • メディア: Prime Video
 

この映画、鉄道のシーンがたくさん出てきます。ストーリー中盤、犯人の森谷教授は、東都環状線という路線に対して爆弾テロを仕掛けます。

爆発を阻止せんとするコナン = 新一。乗客の安全を守ろうと、必死に奮闘する鉄道マンたち。おおーカッコいい!

……と当時は思っていましたが、鉄道マンになってから改めて見返してみると、コレ、けっこうツッコミどころが多いです。犯人の森谷教授の計画が、杜撰というか雑というか……。また、鉄道会社側の対応にも疑問が目立ちます。

今回の記事では、鉄道マンの視点で、無粋にもコナン映画にツッコミを入れていきます。

森谷教授が仕掛けた「鉄道爆弾テロ」とは?

劇中で森谷教授が仕掛けたテロの概要は、以下の通りです。

  1. 東都環状線の線路上(レールの間)に5つの爆弾を設置する
  2. この爆弾、光が遮断された状態が13秒継続すると爆発する。つまり、列車が爆弾上を通過するのに13秒以上を要すると爆発
  3. 具体的には、列車が60km/h未満で通過すると、13秒タイムオーバーで爆発

うーん、これは成功しないと思うぞ

鉄道現場の事情を知っている私でも、この計画を成功させる自信はまったくありません。劇中では、コナン = 新一の活躍で爆発は阻止されました。が、現実でこれをやったら、「東都環状線に5つの爆弾を仕掛けた(ドヤッ」と犯行声明を出せる段階にすら到達しないと思う。

爆弾設置は難しい? 夜中の線路では保守工事が行われている

まず、爆弾を設置するのが意外に難しいはずです。

犯行前夜(のはず)、森谷教授は東都環状線の5ヶ所に爆弾を仕掛けました。しかし、夜中は線路の保守工事が行われていることが珍しくありません。もし、爆弾設置予定の付近で工事をしていたら、どうするつもりだったのか?

ネタバレになりますが、森谷教授が本当に爆弾を仕掛けたい“本命の場所”は1ヶ所だけで、残りはカモフラージュでした。つまり、本命の爆弾以外は、どこに仕掛けてもよかった。

とはいっても、カモフラージュの爆弾も、行き当たりばったりで設置したとは考えにくい。

  • 日陰になる場所は、光が遮断されて爆弾が爆発するのでダメ
  • 東都環状線のような都市圏で高架も多い路線だと、人目につかず侵入・退出できる地点は多くない
  • 爆弾を抱えて移動するのだから、ロッククライミング的な場所から侵入するのは危ない

これらの条件を考えると、爆弾を仕掛けられる地点は意外に限定されそう。というわけで森谷教授は、効率的な移動手順や、無理のない侵入経路を綿密に計画していたと思われます。しかし、その計画が夜間工事でポシャッたら、リカバリーできるのか?

もっとも、これは説明がつかないことはないです。

というのは、劇中はゴールデンウィークの模様。ゴールデンウィークやお盆、年末年始などの連休期間中には夜間工事の件数が減ります。ですから、爆弾設置を邪魔される危険は少ないといえば少ない。

あの爆弾では間違いなく運転士から丸見え

というわけで、いろいろ難しい面はありますが、仮に爆弾設置に成功したとしましょう。すると犯行当日、何が起きるのか?

朝のうちに運転士に発見されておしまい

運転士の視力をナメんな(^^) あんなモノを線路に設置したら、絶対に見つかります。それでなくとも、運転士は目が良いのですから。
(片眼それぞれ0.7以上、両眼で1.0以上。昔はもっと基準が厳しかった)

「動いている列車から、線路上のモノが見えるの?」と思った人、試しに運転席の後ろにかぶりついて前方の線路を見てください。劇中の列車走行速度と同様、70km/hくらいなら、線路の状態はキチンと見えることが実感できるはずです。

もちろん、爆弾がかなり小さければ、運転士から見えないでしょう。が、劇中での描写を見る限り、サッカーボールくらいの大きさはありますね。

運転士経験のある私が断言する。

あれは絶対に運転士に見つかる

しかも、お粗末極まりないことに、爆弾の色はでした。せめてバラストやマクラギに近い色を塗って、発見されにくいよう工夫しろよ。昆虫だって擬態のひとつやふたつ、普通にやってるぞ……。

犯行声明を出す前に爆弾は除去されて終了

さて、線路に見慣れないブツを発見した朝の列車の運転士、「なんか線路に変なモノがあるんですけど……」と報告を入れる。確認のために列車が止まり、そして不審物と判明して警察が出動。タイマーが起動する16時前に、爆弾は余裕で除去されるでしょう。

東都環状線は朝から全線で運転見合わせ……という迷惑な事態にはなります。が、森谷教授が企んだ爆弾テロは、こうしてアッサリ潰えるのであった。前夜、せっかく苦労して爆弾を仕掛けたのに、まったく無駄な努力ご苦労様としか言いようがない。

こんな感じで、犯行声明を出す段階にすら届かない可能性が大です。劇中で森谷教授の粗い計画が通ったのは、かなりラッキーだったと思います。

次回の記事では、テロを喰らった鉄道会社側の対応に焦点を当ててツッコんでみます。

続きの記事はこちら 『時計じかけの摩天楼』 東都鉄道指令室の対応にツッコむ!


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