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ダイヤ改正の雑学 「改正が無事に終わる」のは実は1週間後

2022(令和4)年3月12日、JRグループをはじめ、多くの鉄道でダイヤ改正が行われました。鉄道会社も、新旧ダイヤの切替日たる当日さえ無事に終われば、ヤレヤレこれで作業完了と胸をなでおろすのだろう。

みなさん、そのように想像しているかもしれませんね。

ところが、実はそうではありません。本当の意味で「ダイヤ改正が無事に終わった」と言えるのは、改正日から1週間経ってからなのです。

平休の組み合わせで4パターンの「動き方」がある

ダイヤ改正は当日にすべてが完了するわけではない。終わるまでに実は1週間かかる──どういう意味でしょうか? 説明していきます。

たとえば乗務員には泊まり勤務がありますが、それは「1日目」と「2日目」に分かれているということです。そして、多くの鉄道では「平日ダイヤ」と「土休ダイヤ」の2種類があります。

何が言いたいかというと、ようするに、泊まり勤務には以下の4パターンがあるわけです。

1日目→2日目

  • 平日→平日(例:月曜日→火曜日)
  • 平日→土休(通常は金曜日の泊まり)
  • 土休→土休(通常は土曜日の泊まり)
  • 土休→平日(通常は日曜日の泊まり)

このように、平休の組み合わせによって4パターンの「動き方」があります。この4パターンそれぞれについて、乗務員が業務中に使用する時刻表や作業指示表などが作られています。

つまり、新ダイヤ用に作ったすべての時刻表・作業指示表が一度は使われる、言い換えると、4パターンすべてが一度は実行されるまでには、1週間を要します。

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もし時刻表などに作成ミスがあれば、大変なことになります。ミスがなかったと言い切れるのは、4パターンすべてを実際にやってみて無事に完了したとき──改正日から1週間後ということです。そうなって初めて、ダイヤ改正はすべて終わったと言えるのですね。

これが「ダイヤ改正は終わるまでに実は1週間かかる」の意味です。

信号制御のデータ管理でも起きうる4パターン問題

この「4パターン問題」は、時刻表だけではなくて、たとえばデータ管理でも起こりえます。

多くの鉄道会社では、列車が駅に出入りする際、信号を赤から青や黄色に変えるための操作は、コンピューターによる自動制御です。つまり、コンピューターに「列車の信号制御を行うためのデータ」をあらかじめ入れておかなければいけません。

列車の信号制御を行うためのデータは、パソコン風に言えば、「○月○日 0時00分~23時59分」の24時間で一つのファイルになっています。これを24時の部分で翌日データに「つなげる」ことで断続的に制御をしていますが、このデータに平休の識別を付与している場合、やはり4パターン問題が発生します。

表現が難しいのですが、「データ面の切り替え」とでも言いましょうか。これが全4パターンで問題なく行われるかどうかは、やはり改正日から1週間経たないとわかりません。

【余談】昔はフロッピーで制御データを管理していた

完全に余談ですが、列車の信号制御を行うためのデータ、昔は現場によってはフロッピーで管理していました。24時になったら今日のフロッピーを取り出して、翌日データの入ったフロッピーを入れて読み込ませる……という具合です。

つまり、フロッピー入れ替えの最中は信号の自動制御ができない(=コンピューター側にデータがないから)のですね。

フロッピー入れ替えにより物理的にデータが切れてしまうことは避けられないので、自動制御ができない空白時間帯はどうしても発生します。その時間帯に列車を発着させたいときは手動で対応するしかないですが、そもそも24時付近は列車を通さない方がいいですね。

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