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住宅街にある第4種踏切道 津山線・後田堀踏切

みなさんは、第4種踏切道なるものをご存知でしょうか?

踏切というと、列車が接近すると警報機がカンカン鳴り始め、遮断機(桿)が降りる。これをイメージすると思いますが、実は世の中には、「警報機と遮断機いずれも備えていない踏切」が存在します。それが第4種踏切道です。

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第4種踏切道 運輸安全委員会「踏切事故を起こさないために」から画像を拝借

津山線の後田堀踏切 岡山市の住宅街にある

第4種踏切道、だいたいは田舎にあります。ほとんど人や車が通らない田舎道なので、わざわざ警報機・遮断機まで付けなくてもいいでしょう、という理屈。周りは山や田んぼ、畑が広がっていて、のんびりとした雰囲気が漂っている。『第4種踏切道』で画像検索すると、そんな写真が多く出てきます。

しかし中には、住宅街に位置する第4種踏切道もあります。それも、県庁所在地駅からわずか2.5㎞ほどの位置に。

その珍しい第4種踏切道がある場所とは、岡山県岡山市です。

岡山から鳥取方面へ伸びていく津山線という路線があります。岡山駅の次、法界院駅から北へ約200m。件の第4種踏切道は、そこにあった──

マンションやらアパートやらに周りを囲まれたこの第4種踏切道。その名も後田堀踏切です。警報機も遮断機もありませんが、これも立派な踏切。

鉄道マンとしての感覚だと、この場所に第4種踏切道があるのは変な感じです。わざわざ踏切まで設けるような場所・道ではない気が……。

なぜ、ここに踏切を設けたのか? 昔は、この周辺も田んぼや畑ばかりだったのか? そのうちマンションやアパートが建ってきて、住宅街に取り込まれてしまったのか? つまり、後天的に発生した「住宅街の第4種踏切道」なのか?

こうした疑問に対する答えを、この踏切のたたずまいから推測することは私には不可能でした。そのあたりの歴史をご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください。

後日追記コメント欄にてTakamasa Nakagawaさんから、「岡山大学の学生さん用のショートカットルート」との情報をいただきました。ありがとうございます(^^)

住宅街の第4種踏切道 安全性は問題ないのか?

ところで第4種踏切道、警報機も遮断機もないことから、普通の踏切(=警報機と遮断機が付いた第1種)よりも危険です。実際、毎年のように全国どこかの第4種踏切道で死亡事故が起きています。

住宅街にあり、田舎よりも人の往来が多そうな後田堀踏切、かなり危険ではないか?

ただ、第4種踏切道での事故は、軽自動車や軽トラックに乗っていて、というケースが多いです。これは、自動車に乗っていると外の音が聞こえにくく、列車の接近に気付かないという理由があるのでしょう。

その点、歩行者だと列車の接近には気付きやすい。歩行者が事故に遭った例は、実は少ないのです。で、写真を再確認するとわかりますが、後田堀踏切は自動車が通れる感じではないですね。歩行者専用踏切と言ってよいでしょう。

また、後田堀踏切に関しては、わりと近くに普通(第1種)の踏切があります。列車が接近すれば、そちらの警報機がカンカン鳴り始めるので、その音が少しは聞こえるはずです。そういう点でも、比較的安全な第4種踏切道じゃないかなぁ……というのが、私の見立てです。

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