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列車の運転室内に2人以上いる? 添乗や便乗という仕組み

列車の運転士は一人仕事です。みなさんが先頭車両に乗って前方に目をやっても、運転室の中には運転士1人だけ、というケースがほとんどでしょう。

ただし、実際にハンドルを握っている運転士以外にも、運転室の中に人がいるのを見たことがあると思います。

典型的なのが、見習運転士 + 指導運転士というパターンです。ハンドルを握っているのが見習運転士、横に立っているのが指導運転士(いわゆる先生)。自動車免許でいうところの仮免教習生 + 指導教官と同じです。

添乗──運転士の仕事ぶりをチェックするために乗りに来る

運転室に2人以上いるケースは、この見習運転士 + 指導運転士というパターン以外にもあります。

一つは添乗と呼ばれるものです。

運転士が所属する部署(乗務区・運輸区・運転区・機関区などと呼ぶ)には、運転士の指導を仕事とする人もいます。ようするに運転士の上司ですが、「運転士が正しく仕事をしているか?」をチェックするため、実際に列車に乗り込むのです。だから運転室内が2人になると。

運転士は基本的に一人仕事なので、間違った方法でやっていても、指摘してくれる人がいません。それではマズいので、たまに添乗してチェックするわけです。

私もいろいろ言われました。そんなにスピード出さなくていいだろとか、もっとハンドル操作を丁寧にやれとか。「そんな荒っぽいと女の子に痛がられるぞ」と言われたのは忘れられない(笑)

ちなみに添乗には、指導担当者が制服を着て運転室に乗り込んでくる「正攻法」以外に「搦め手」もあります。どういうことかというと、運転士の普段の姿を見るために、私服で乗車し、乗客のフリをして運転室の後ろからこっそりチェックするというもの。上司に見られていないと思ってダラけている運転士は、これで“刺され”ます(ギャー

便乗──運転士(乗務員)が移動するための手段

ちょっと話が逸れました。運転室に2人以上いるケースは他にもあって、便乗と呼ばれるのもそれです。

便乗とは、他の運転士が運転する列車に乗って、目的地まで移動すること。言ってみれば「運転士の回送」ですね。

たとえば、東京から静岡まで貨物列車が3本走ったとします。運転してきた3人は東京に戻りたいのですが、静岡から東京へ向かう列車は1本しかない。こういう場合、2人は乗務する列車がない(=運転士が余る)ので、便乗で帰ります。

こういう便乗は貨物会社に限った話ではなく、旅客会社でも普通にあります。そして、便乗の際は運転室に身を置くので、室内が2人以上になるわけです。
(便乗時は客室という鉄道会社もある)

その他、ダイヤが乱れたときも便乗が発生します。ダイヤが乱れると、「どの乗務員をどの列車に乗せるか?」を定めた運用計画というものが狂います。それに対応するため、乗務員のやりくりを変更しなければならず、その過程で便乗を指示することもあります。

途中で人が増減するのは添乗か便乗

  • 見習運転士 + 指導運転士
  • 添乗
  • 便乗

というわけで、運転室内に2人以上いるケースの解説をしました。

見習運転士 + 指導運転士の場合は、必ず2人がセットで動くので、途中で増減することはありません。今まで1人だったのに、途中から誰か乗ってきた。もしくは、今まで運転室内に2人いたのに途中で1人降りた。こういうケースは添乗か便乗です。

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