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ポイントに雪が挟まって切り替わらない! こうした事象をどう防ぐ?

大雪シーズンとなった2022(令和4)年の1~2月、鉄道も大打撃を受けました。特にJR北海道では、雪が降りすぎて除雪が追いつかず、札幌圏の全列車が終日運休、なんて事態も発生しましたね。

今日は、雪による運転見合わせの話をひとつ。

雪による運転見合わせを引き起こす原因の一つが、「雪によるポイント不転換」です。

雪によるポイント不転換とは、簡単に言えば、ポイントが雪を“噛んで”しまって切り替わらなくなる事象です。私は列車の運行管理を行う指令という仕事をしていますが、これは何度も経験があります。もう大雪が降ったときの“お約束”と言っていいです。

全ポイントが切り替わらないと信号は赤のまま

まずは、ポイントに関する基礎知識を少し。

列車が駅に進入または進出する際は、ポイントを何箇所か通過しますね。当たり前ですが、これらのポイントは、列車が通過する前にあらかじめ正しい方向に切り替えておかなければいけません。

列車が接近すると、その列車が通過する予定のポイントすべてが切り替え動作を開始します。すべてのポイントが正しい方向に切り替わってはじめて、信号は青や黄色に変わります。

すべてのポイントが切替完了してから → 信号が青や黄色になる、という順番です。

逆に言うと、通過予定のポイントのうち1箇所でも切り替わらないと、信号は赤のまま変わりません。つまり、列車を通すことができなくなってしまい運転見合わせ。雪のときに起きやすいのがこれなのです。

ポイント部付近は、特に雪がたまりやすい場所です。というのも、列車がポイントを渡る際は左右に振られるので、その衝撃で車体にくっついていた雪が落ちやすいからです。

ヒーター・カンテラ・人海戦術 融雪や除雪で不転換を防止

さて、こうした雪によるポイント不転換を防ぐには、どうすればいいのでしょうか?

みなさんが知っている対策もあるかもしれません。たとえば、ポイント部には電熱ヒーター(電気融雪器)がついており、それで入り込んだ雪を融かす方法。電熱ヒーターではなく、カンテラと呼ばれる灯油ランプみたいなのを使うこともあります。大雪が降ったとき、ポイント付近で炎がチロチロ燃えているのを見たことがある人もいるでしょうが、あれがカンテラです。

(どなたか「雪の鉄道風景」や「カンテラ」の写真を提供していただけると超助かります(^^;)

もうワンランク上になると、石油を燃やして温風を噴出させるジェットヒーター的な設備もあります。

ただ、ガチの雪になると、これらでは融雪が追いつかないので、係員がポイント部付近の除雪作業を頑張る人海戦術も実際には重要になってきます。

……という感じで方法はいろいろあるのですが、これらに共通しているのは、「雪を取り除くことでポイント不転換を防ぐ」という発想です。まあ、オーソドックスな考え方といえるでしょう。

そもそもポイントの転換をやめることで不転換を防止

しかし実は、雪によるポイント不転換を防止する、もう一つの考え方があります。「ポイントを切り替えなくてもよい状況を作る」です。

どういうこと? と思うでしょうが、次のような意味です。

ポイント不転換は、ポイントを「切り替える」際に起きます。だったら、ポイントをずっと一定方向に「固定」してしまえば、そもそもポイント不転換は起きないでしょ、という発想です。たとえば↓図のような駅があるとします。

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この駅では、1番線と2番線の両方を使って列車を発着させます。しかし、その形だとポイントA・Bは切り替えを繰り返すことになり、どうしても不転換を起こすリスクが高まります。

だったら、大雪の間はポイントA・Bを2番線の方向に固定してしまい、すべての列車を2番線でさばく。1番線は使用しない。ポイント転換という“作業”自体をなくしてしまうことで、ポイント不転換を防ごうという発想です。

ただし、大きな駅や車両基地では、どうしてもポイント切り替えが必要になるので、この手法はあまり馴染みません。比較的小さな駅・小規模の路線で有効な方法です。

「作業自体をなくす」という発想

鉄道雑学だけ紹介して終わるのもアレなので、ビジネス面で参考になりそうな形で記事をしめましょう。

この記事で参考にしてほしいのは、「そもそも作業自体をなくすことはできないのか?」という発想です。ポイント不転換の話でいえば、「どうやって雪を取り除くか」を考えるのもよいですが、「ポイント転換という作業なしで列車運行はできないか」の着想もしてほしい、ということです。

一つ例を出しましょう。ここに、洗濯して干し終えた靴下があります。

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色違いが5組。これら洗濯し終えた靴下を、正しいペアにしなければいけません。洗濯物の山から、同じ色を探して組み合わせる。けっこうメンドクサイですね。

この手間を軽減しようと思ったら、どういう対策をとればいいでしょうか?

答えは「全部を同じ色にする」。たとえば、すべての靴下を黒に統一すれば、どれを組み合わせても“正解”のペアになります。色違いを5組用意するから話が面倒になるのであって、最初からすべて同じ色に統一してしまえば、正しいペアにするという作業自体を消滅させることができます。

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こうすれば「同じペアを探す」という作業自体が発生しない

もちろん、こういうやり方がどんな場面でも正解・唯一絶対の回答ではないですが、一つの考え方として知っておくと、仕事で役に立つこともあるでしょう。

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