『運転士になるまでシリーズ』の続きです。3ヶ月間におよぶ学科講習、卒業のための学科試験の話を続けます。
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中間テストに比べると問題は意外と簡単だった
学科試験は二日間にわたって行われます。
いよいよ迎えた試験初日。朝の時間も、みんな1分を惜しんで最後の勉強に励みます。普通にやれば受かるとはわかっていても、やっぱりドキドキします。
そして……いよいよ最初の科目の試験が始まりました。
あれー、なんか楽勝な感じだぞ
あくまで個人的な感想ですが、中間テストよりも明らかに簡単です。もちろん、勉強を積み重ねて実力がついたおかげですが、しかし、それを差し引いても中間テストより難易度が低い気がする。
前回の記事でも書きましたが、中間テストは気を引き締めるために「落とすための試験」にしてあるのでしょう。対して、卒業テストである学科試験は、落ちる人がほとんどいないという事実からしても、「落とすための試験」ではないと思われます。
こうした違いが、試験の難易度の差になっているのかもしれません。
学科試験の合否は即日発表される
試験の結果は即日発表です。科目ごとに、平均点や最高点、不合格者がいる場合は、その者の名前が講師の口から知らされます。不合格者として名前を呼ばれなければ合格、というわけです。
午後にテストが行われた科目でも、夕方には結果が知らされます。講師陣が、総力を挙げて採点作業をしているはずです。
なお、学科試験では答案用紙の返却はありません。知らされるのは合否だけで、自分が何点だったのか、どこを間違えたのかはわからないままです。
対して、中間テストでは答案用紙が返却されます。各人にどこを間違えたのか確認させ、復習ひいては学力向上につなげるためです。
大人の事情? 100点を取ってはいけない!?
ところで、学科試験の数日前、ある教科を担当していた講師がこんなことを言いました。
「おまえらー、(学科試験では)100点取るんじゃないぞー」
この言葉、半分は冗談で半分は本気です。というのは、もし100点を取る人が出たら、「試験問題のレベルが低すぎたんじゃない?」という話にならないとも限りません。(もっと穿った見方をすれば、「試験問題が漏洩した?」という話にも)
試験問題を作るのは、国土交通省ではなく教習所(講師)です。問題の難易度は自由に調整できるはずですが、やはり国家資格試験であり、そして運転士という大切な職種の試験ですから、ある程度の難易度は必要でしょう。
このように、100点を取られると困る「大人の事情」があるわけです。ところが、ある科目の試験結果発表で、
「えー平均点は○点。最高点は……100点」
おい誰だ(笑)
先ほど説明したように、答案用紙は返却されませんから、100点の“犯人”は謎のままでした。もちろん、講師側は知っていますが。
学科試験は不合格でも一度だけ再チャンスがある
まあ100点なんてのは現実そうそうない話で、みんなが興味あるのは「合格ラインを超えられたか否か」だけです。
合格点に満たなかった場合は、一度だけ再チャンスが与えられ、追試が行われます。この追試で合格できれば、それでOK。一発勝負ならぬ二発勝負というわけです。
追試で落ちると、完全に終了です。「学科試験に落ちた」とは、この追試にも落ちた状態のことを指します。学科講習を修了できなかったことになり、元の職場に戻されてしまいます。二度と運転士になるチャンスはありません。そして、いずれは他職に飛ばされます。
私のクラスでも、3人だか4人だか忘れましたが、追試になってしまった人がいました。追試は、学科試験の二日間が終わった翌日に行われます。
ただ、実際はこの追試でほとんどの人が合格します。不合格になった科目だけを集中して勉強すればよく、「アレもコレも勉強しなきゃ」という状況から解放されるので、そう難しいことではありません。
合格者たちは車両基地で車両講習を受けて時間つぶし
ところで、不合格者が追試を受けている間、合格者たちは何をしているのでしょうか?
車両基地に行って車両講習をします。ただ、ガチな感じの講習ではなくて、時間つぶし的な雰囲気が強いです。
(→車両基地での講習についてはこちらの記事を参照)
実際、追試組が心配で、講習に打ち込むどころではなかったですね。3ヶ月間、同じ釜の飯を食ってきた仲間ですから、なんとか受かってほしい。
そして、昼休みが終わった後に、教習所から「全員合格した」との知らせが届き、歓喜の声が上がりました。追試組も車両基地にやってきて、学科試験合格を喜びあいました。
ただし、こちらの記事で書いたように、この時点ではインフルエンザが原因で2人が欠けていました。インフルエンサーの2人も無事に合格し、正真正銘の全員合格となったのは、数日後の話です。
今回の記事はここまで。
学科講習・学科試験の記事は、次回で最後です。