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趣味で鉄道好きな人はもちろん、就職・転職で鉄道業界に興味がある人もどうぞ! 現役鉄道マンが、鉄道の雑学や裏話を語ります。

運転士になるまで(23) 学科講習 最後の一日

おはようございます、現役鉄道マンのKYSです。
運転士になるまでシリーズの続きです。

3ヶ月におよぶ学科講習も、いよいよ最後の一日を迎えました。
今回の記事では、そんな最終日の模様をお伝えいたします。

1.学科講習
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3.実車講習
4.実車試験

 

学科講習の成績優秀者は表彰される


ここ何日かは、学科試験でピリピリした空気でしたが、最終日はのんびりムードでした。
学科講習初日には「入所式」がありましたが、最終日には「退所式」が行われます。
(学科講習初日の記事はこちら

お偉いさんがやってきて、何か話をしていったと思うのですが……うーむ、まったく覚えていません。
まあ多分アレですね。お客様の命を預かる運転士として、しっかりやってくださいよという、そんな感じの話がされたのだと思います。

続いて、表彰が行われます。
学科試験で成績トップだった人が、成績優秀者として表彰されるのです。

学科試験では成績によって順位がつき、その結果は自分の所属区所にも伝えられます。
ロクでもない成績だと、所属区所に戻ったときに「みっともない成績で戻ってきやがって」となります。
逆に好成績で卒業すると、「こいつは期待できる」という目で見られます。

こうした印象論だけにとどまらず、人事の記録にも試験成績は残りますから、その後の昇進や配置転換などにも影響があるはずです。
「合格さえできれば、トップでもビリでも同じ」ではありません。

最近の学校では、テストの順位を発表しなかったり、競争でもなるべく差がつかないように配慮したりといったことがあるらしいですが、そんな“平等”は鉄道会社(というか社会)には存在しないのが現実です。

ちなみに……自分の所属区所に戻ってから上司に聞かされたのですが、私は2位の成績だったそうです。
「お前よく頑張ったな」と上司に褒められました。

余談 「最初の評価」はなかなか覆らない


ちょっと話が逸れますが、こういう「最初の評価」って、なかなか覆りません。

あくまで私の経験から言える話ですが……

最初に「こいつデキる」という印象・評価を確立しておくと、その後、多少のミスがあっても評価は落ちにくいんですね。
ミスしても「へー、あの人でもミスするんだ。珍しいね」みたいな雰囲気で終わります。
そのうち、ミスった事実も忘れ去られます。

逆に「こいつアカンわ」という印象を最初に与えてしまうと、そこから挽回するのは容易ではありません。
ちゃんと仕事をこなしていっても、なかなか評価が上がらない。
ミスしようものなら、「ほら見たことか」「まあ、あいつならやるわな」という雰囲気になりますし、時間が経っても「あいつはあのとき○○のミスをした」という印象がなかなか消えません。

実際、こういうケースを私は社内で何度も見てきました。
これを読んでいる学生さん、評価や印象というものは最初が肝心ですよ。

残り時間は運転シミュレーターや大掃除をして過ごす


話を戻します。

退所式が終わって残りの時間。
すでに学科講習のカリキュラムはすべて修了していますから、教室で講義を受けることはしません。
運転シミュレーターをやって時間を潰します。

夕方近くなり、いよいよ退所の時刻が迫ってくると、寮の大掃除を行います。
寮の部屋を掃いたり拭いたりの簡単な清掃は毎日するのですが、本格的な掃除をするのは、最終日にして初めてです。
掃除機までかけるのですが、掃除機の台数が少ないので、自分のところに回ってくるまでに時間がかかったりします。

自室の掃除が終わると、講師を呼んできてチェックを受けます。
甘い部分があると、やり直しをさせられるので、手抜きはできませんね。

最後の教室で決意表明 そして居酒屋で打ち上げへ


掃除が終わると、荷物をすべて持って寮を退去し、全員が教室に集められます。
講師陣から最後の話がありました。

どんな話だったか、まったく覚えていない……

人の心に言葉を残すって、難しいですね(^^;)

この最後の教室で覚えているのは、クラスの担当講師が「よーしお前ら、どういう運転士になりたいか言ってみろ」と言って、全員が順番に“決意表明”させられたことです。
「事故を起こさないようにします」と無難なことを述べる人が大半でしたが、中には「お客さんにケガをさせたら、責任を取ってその場でハラを切ります!」という過激?な発言もあったような……。

ちなみに、私はどのような決意表明をしたのかというと、

自分で何を言ったか、まったく覚えていない……

自分の決意表明すら心に残ってないとは、さすがにマズいですね(^^;)

そして、教習所を退去した後は、居酒屋に移動して打ち上げです。
ようやく学科講習から解放されたこともあり、みんな超ハイテンション。
飲み過ぎて帰りに吐いた人もいたらしい。

この飲み会では、寮で同部屋だった相棒に、めちゃくちゃ感謝されました。

「いつも勉強教えてくれて助かった。お前と同じ部屋じゃなかったら、俺絶対落ちてたわ。本当にありがとう」
「いやいや、僕は教えただけで、○○さんの頑張りがあってこその合格ですよ」

こんな感じの会話をしたことを覚えています。

——こうして、学科講習の3ヶ月間が終わりました。
しかし、ここはまだ道半ば。
いよいよ運転士見習として、現場で技術や心構えを叩き込まれる日々が始まるのです。

就職を目指す人に必要なのは「リアルな情報に基づくイメージ」


運転士になるまでシリーズ、学科講習と学科試験の話はこれで終わりです。
鉄道業界へ就職を目指す学生さんが、鉄道会社の教習所ライフのイメージを掴むのには、じゅうぶんな内容が書けたと思います。
もちろん、会社によって違う部分はありますが、大筋はどこの会社も同じはずです。

話がマニアックになりすぎた部分もありますが、お許しください。

就職活動、そして社会人としての第一歩に必要なのは、「リアルな情報に基づくイメージ」だと私は考えます。
イメージを持たないまま会社に入ってしまうと、「自分が思っていたのと違う」という悲劇が起こり得ます。
鉄道会社に入って運転士を目指したい人に、できるだけリアルにイメージしてもらえるよう、詳しく書いたつもりです。

これを読んでくれた方、何かの参考になれば幸いです。


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運転士になるまで(22) クラス全員合格なるか? 学科試験当日

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