『運転士になるまでシリーズ』の第4回です。
今回は、一緒に学科講習を受けた同期生たちの人数や男女比、年齢などはどのような構成になっていたのか? そのあたりを説明します。
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私のクラスは男30:女1
運転士の学科講習はクラス単位で行われますが、私のクラスは31人でした。
……たぶん。
いや、29人だったか33人だったか、実はちょっと記憶が怪しいですが、奇数だったのは間違いないです。
教習所の寮は二人で一部屋を使用します。同期生に女性が1人だけいたのですが、男たちは全員が相部屋となり、誰か1人が余って単独部屋……ということは発生しませんでした。ようするに、「男の数は偶数」で「女性は1人」だったので、トータルで奇数だったのは確実です。
現在は女性運転士が普通になりましたから、私のクラスの男30:女1という比率は隔世の感がありますね。
ちなみに、同期生で唯一女性だったこの人は既婚者で、しかも割と豪快な「あねごタイプ」だったので、男の中に一人だけ放り込まれてもたくましくやっていました。そのため、男衆たちの間で「あのコいいね」「狙おう」みたいなことはまったく発生しなかったです(笑)
運転士候補生は20代半ばの人が多かった
同期生たちの年齢はバラバラでした。これも記憶が怪しいですが、確か一番若い人で23歳、最年長は35歳だったような……。
ただ、年齢バラバラといってもボリュームゾーンはちゃんとあって、24~25歳の人が多かったです。
当時はまだ大卒の現業職採用が少なくて、同期生はほとんどが高卒。そのため、高卒で入社して、駅と車掌を3年前後ずつ経験すれば24~25歳くらい、という勘定です。
(鉄道会社によっては、大卒の現業職自体が存在しなかった時代でした)
現在では大卒の現業職社員が増えているので、講習生の平均年齢はもう少し上がっているはずです。
教えるときに大切なことは何か? 担任講師の姿勢に感心
人数は約30人、年齢は20代の人がほとんど。これが私のときのクラス構成です。
さて、学科講習のクラスでは、学校のように担任の先生がつきます。
私たちのクラスの担任講師は、30代前半の方でした。教習所に赴任してきたばかりで、初めての担任経験が私たちのクラスでした。
新米講師といっても、現場で運転士を経験してきた“叩き上げ”でしたから、「初めてだから無難に乗り切ろう」のような雰囲気は全然ありません。見た目は穏やかですが、ダメなところは容赦なく指摘してきます。私も「お前、そういうのはよくないぞ!」といろいろ厳しく注意されました(笑)
もちろん、クラス担任が初めてだったせいか、要領を得ないところはありました。しかし、「鉄道の安全を守るための大事な運転士を育てているんだ!」「みんな一人前に育ってほしい!」という気概はよく伝わってきました。ですから、厳しいことを言われても反発する人はいなかったです。
現代では、「部下・後輩の育成方法」「わかりやすい教え方」など、教育に関するノウハウ・テクニックが数多く出回っています。そんな中で「一生懸命」「情熱を持つ」という要素は、精神論的で古臭いと感じる人もいるかもしれません。
しかし、やはり教える側の基本は「一生懸命」「情熱を持つ」だと私は思うのです。それがあってこそ、教えるためのノウハウ・テクニックが活きる。いくら表面的な教えるテクニックを磨いても、先生の側に信念みたいなものがないと、生徒側はそれを見透かしてシラケるのではないでしょうか。
私にとっては、担任講師の姿勢がとても勉強になりました。
相部屋の「相棒」はどんな人?
先ほど「教習所の寮は二人で一部屋を使用する」と書きました。「3ヶ月間、相部屋で一緒に過ごすのは誰か?」は、ある意味、学科講習の中でもっとも気になるところです。
さて、私の“相棒”はどんな人だったかというと……
見た目がすっげえ怖かった
実は私、最年長の35歳の人と相部屋になったのですが、この人は「指導車掌」でした。現場に新米車掌が入ってきたときに彼らを育成する、「車掌の先生」というべき役職で、いかにも“叩き上げ”の雰囲気がありました。そういう雰囲気に加えて、スキンヘッドで目つきが鋭い。
正直に書くと、この人ヤ○ザじゃね? と思いました(笑) 私は当時20代半ばでしたから、約10歳の年齢差も相まって、めちゃくちゃ怖く見えたのです。
「○○(私の名前)、これから3ヶ月よろしくな!」
「はい、よろしくお願いします!」
「俺さぁ、バカで勉強は全然ダメだからよぉ、いろいろ教えてくれや。頼むな」
「えっ、そうなんですか……(^^;) 僕のわかる範囲だったら……」
「おう、よろしくな。じゃあちょっと飲みに行ってくるわ」スタスタ
部屋で最初にした会話は、確かこんな感じだったと記憶しています。
結論から書いておくと、この人とは3ヶ月間うまくやっていけました。
確かに成績はあまり良くない人でしたが、それは決して頭が悪いからではなく、勉強の要領を知らないだけでした。コツさえちゃんと教えれば、それを飲み込んでとりあえずは進んでいくのです。「毎朝ちょっと早起きして昨日の復習しましょう」と提案すると、ちゃんと早起きして勉強する真面目な人でした。
実際に一緒に過ごしてみると、全然怖い人ではなかったですし……なのになんで見た目がアレなのかな(笑)
今回の記事はここまでです。