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希少米を使った米粉パン専門店 法華口駅『モン・ファボリ』

(※注意! この店は2023年の夏~秋頃に閉業したようです。閉店後のスペースには、別の飲食店が入っている模様)

兵庫県のローカル線の一つ・JR加古川線。その途中に位置する粟生(あお)駅からは、北条鉄道が分岐しています。国鉄から継承された第三セクター鉄道です。

写真左:JR加古川線 写真右:北条鉄道

北条鉄道、なかなか厳しい地理環境に置かれており、経営は赤字となっています。みなさん、ぜひ乗りに行って売上に貢献してあげましょう。

そうは言われても、特に目的がないまま、ただ乗りに行くだけってのはなぁ。

そう思った人、北条鉄道の法華口駅に入居しているパン屋『モン・ファボリ』を訪れる旅、というテーマで乗車してはいかがでしょうか。

「野条穂」を使った米粉パン専門店が駅舎内に まさにオンリーワン

法華口駅構内にあるパン屋『モン・ファボリ』。外から見ただけでは、パン屋の存在に気付きにくいと思います。地元でも、案外知らない人がいたりして……。

北条鉄道・法華口駅。ぶっちゃけ、この中にパン屋があるようには見えない

ローカル線の駅舎にパン屋。これだけでも面白いですが、このお店には、もう一つ特徴があります。米粉パンの専門店なのです。

さらに──この店で使用している米は、「野条穂」という品種だそうです。これは酒造用の米とのこと。ご存じのように、日本酒の原料が米ですね。

酒造には、それに適した米が存在します。酒造好適米と呼ぶのですが、酒造りだけでなく、実はパン作りにも適しているそうです(→青森県庁のレポート)。

代表的な酒造好適米が「山田錦」です。山田錦に比べると、『モン・ファボリ』で使用している野条穂はマイナーで希少な米らしいですが、そこも注目ポイント。

  • ローカル線の駅舎内
  • 米粉パン専門店
  • 希少米「野条穂」を使用

この条件を満たす店が、はたして他にあるでしょうか。おそらく、ない。まさにオンリーワンのパン屋といえるでしょう。

きまぐれサンドはボリュームたっぷり たこピザは昔から人気の一品

とまあ、情報をズラズラ並べたてましたが、私は情報を食べに来たわけではない。肝心なのは味です。米粉パン専門店の実力はいかに? あくまで個人的な印象ですが、小麦粉パンに比べると、米粉パンには以下のような特徴があると思います。

  • 焼き目(外側の皮とか)の部分はサクッと歯切れがよい
  • 中はもっちり重い感がある
  • しっとり感やフンワリ感には欠ける

このあたりの長所・短所がどのように制御されているのか。私が選んだパンは、以下の通りです。

写真左から、きまぐれサンド(450円)、やきいもパン(200円)、たこピザ(170円)です。

きまぐれサンドは、ボリュームたっぷりが魅力。やきいもパンは、甘い系が一つ欲しかったので。たこピザは、変化球っぽいところに興味を惹かれました。確かポップに、「創業当初から人気です」的なことが書いてあった気がします。

駅のベンチに座り、米粉パン祭り開始です。先発は、きまぐれサンド。きまぐれサンドは種類が複数あり、私が選んだのは、ハム・マヨネーズたまご・レタスが挟まれたやつ。

まずはパンだけ齧ると、あー、いかにも米粉パンだ。ところが不思議なことに、具と一緒に食べると、小麦粉パンとの違いがほとんど分からなくなります。なぜだ。中に詰め込まれた具は、かぶりつくと溢れそうになるぐらいタップリなのが嬉しい。

ていうか実際溢れた
マヨたまがホームに落ちた

すみません orz
そのへんの落ち葉で包んで、土の上に置きました。みなさんも、食べるときは気を付けてください。

同じ具材を小麦粉パンで挟んだものと、どちらが美味しいか? ……うーん、難しい。先ほど書いたように、ほとんど味に差異が見出せません。好みとしか言いようがないでしょう。

続いて中継ぎは、たこピザ。薄く伸ばされて焼かれた米粉生地の上に、半球状のたこ焼きがトッピングされています。おかか・ソース・マヨネーズがあしらわれ、ピザと名付けられているものの、チーズはのっていません。

薄い形状の米粉パンは、ピザのようなサクッではなく、どちらかと言えば煎餅的な雰囲気が感じられました。美味いは美味いです。ただ、たこ焼きと米粉パン、相乗効果は……あるのか? あえてくっつける(合体させる)意味は、さほどない気がします。

やきいもパンは米粉「だからこそ・ならでは」の美味しさがあった

食べたことのある人ならわかると思いますが、米粉パンって、一旦しぼむ(へこむ)と潰れたままで元に戻りにくいですよね。ふんわりふっくら感は小麦粉パンの方が上であり、そこをあえて米粉を採用する以上は、米粉「だからこそ・ならでは」が欲しいところ。

ようするに、どう米粉の特性を活かすか? という話。

個人的には「米粉パンだから美味しい」には出会ったことがなく、いま食べた二つのパンも、正直その例外ではなかったと思います。米粉パンって難しいなぁ。

……などと思いながら食べた最後のやきいもパン

これは外側がこんがり焼けているタイプではなく、全体が柔らかいのですが、

おおっ!?
こいつは美味いぞ

紫芋のパウダーが練り込まれた生地、中には芋ペースト。米粉パンのもっちり重い感じが、ぽってりした芋ペーストとよく合っていると思いました。芋パン自体は珍しくないですが、生地が小麦粉から米粉に変わっただけで一味違う気がします。

これぞ米粉の特性を活かしたパンではないでしょうか。初めて「米粉パンだから美味しい」に出会えた気がします。ごちそうさまでした。

素人の仮説ですが、米粉は甘い系統のパンと相性が良いのかもしれません。甘いクリームや餡子には、ある種の「重さ」がありますよね。ふわっと軽い小麦粉ではなく、もっちりした米粉の方が、クリームや餡子の重さを適切に受け止めてくれる……という可能性です。

となると、気になるのが購入しなかった他のパン。確かチョコドーナツや蜂蜜入りパンも売っていたはず。買っときゃよかったなぁ。次に行く機会があったら、甘い系統のパンに絞ろうと思います。

【補足】初見では戸惑うかも 粟生駅での乗換方法

グルメ話はここまで。あとは補足情報。

『モン・ファボリ』を訪れてみたいと思った人へ。JRと北条鉄道の接続点・粟生(あお)駅での乗換方法について、こちらの記事で説明してあります。というのは、粟生駅での乗換方法はやや特殊で、鉄道に詳しくない人は初見だと戸惑うかもしれないので。

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