本記事は、↓の記事の続き物です。読んでいない方、まずはご覧になることをオススメします。
↑の記事では、カネの都合で設備の改修・更新がままならない苦しい現実や、JR北海道の「検査数値改ざん事件」について触れました。「カネの切れ目が安全の切れ目」なんて言葉も出しました。
結局、私が言いたいことを集約すると、次の一言になります。
安全と利益は「循環関係」である
安全が利益を生み、利益が安全を生む
安全と利益は循環関係である。
この図の意味を、もう少し突っ込んで説明していきます。
安全が利益を生み、利益が安全を生む。この循環を保つことこそが、安全にとって大切なのではないでしょうか。
つまり、安全と利益の「どちら」が大切かという話ではなくて、安全と利益が両立していることが大切だと言いたいのです。
この「安全と利益のループ」を逆に考えると、次のようになります。
まさに悪循環ですね。
いったん悪循環に入ったら抜け出せない
そして、この悪循環に近づきつつあるのが、JR北海道ではないでしょうか。
JR北海道は、利益が非常に出にくい会社です。人が少ない地域に広大な線路を維持しているからです。これは構造上の問題であって、JR北海道に責任はありません。世界一の敏腕経営者を据えたとしても、鉄道事業の赤字は免れないはず。
しかし、赤字の原因や責任の所在がどうであれ、一度この悪循環にハマってしまえば、いずれは鉄道事業者としての「安全を守る義務」が果たせなくなるでしょう。そうなってしまっては、結局は利用者が困ります。
「安全を守る義務」を果たし、社会的責任をまっとうするためにも、鉄道会社はキチンと利益を追求することが絶対に必要だと私は考えています。
すでにご存知の方もいるかもしれませんが、つい先日、JR北海道は運賃の値上げを発表しました。正直、利用者の方からすれば嬉しくないニュースです。が、ここで説明したようなことを知っておくと、値上げに対する考え方も少し違ってくるのではないでしょうか。
関連事業で利益を確保するしかない
これから少子高齢化・人口減少が進み、鉄道会社の売上が落ちれば、「安全と利益のループ」問題はますます顕著になっていくでしょう。将来、地方の鉄道は財務面だけではなく、安全もガタガタ、なんて恐ろしい事態が起きるかもしれません。
鉄道事業だけで利益が確保できない会社であれば、やはり関連事業に打って出るしかないでしょう。
たとえば、JR東日本やJR九州が関連事業に力を入れているのは有名です。そこには、利益を確保できなければ、いずれ本業の鉄道が崩壊し、社会的責任が果たせなくなる……という考えが根底にあるのだと思います。
私の個人的な主張でしたが、安全と利益のループ理論、いかがでしょうか? 特に就活中の学生さん、参考にしていただければ幸いです。
あ、面接の質問やグループディスカッションのテーマになったとき、もし「安全と利益のループ理論」を使うのであれば、やんわりと主張してくださいね。「利益! カネ!」とあまり声高に主張すると、相手の反感を買うので(笑)