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「ある場所」では冷凍コンテナの電源を強制オフにする!

貨物列車はさまざまなコンテナを運んでいますが、その中に「冷凍コンテナ」というものがあります。以前の記事では、その冷凍コンテナについて解説しました。

冷凍コンテナは、早い話が「動く冷凍庫」ですので電源が必要です。その電気は、付属のディーゼルエンジンで発電機を回すことで確保しています。

ところが、実はこの冷凍コンテナ、「ある場所」を通過するときは電源を切らなければいけません。その場所とは、いったいどこでしょうか?

青函トンネル内は火気厳禁

答えは青函トンネルです。

なぜ、青函トンネルを通過する際は、冷凍コンテナの電源を切らなければいけないのか?

青函トンネルは長大ですから、もしトンネル内で火事が起きたらヤバいです。それを防ぐため、青函トンネル内では「燃料の使用や持ち込み」が制限されています。

たとえば、電気+モーターで走る「電車」は通っていいのですが、軽油+ディーゼルエンジンで走る「気動車」は原則通行禁止です。何かの事故が原因で、軽油(燃料)に引火でもしたら火事になって大変なので。

他にも、自衛隊の機材を輸送する列車が青函トンネルを通るときなんかも、機材内の燃料を抜くことが必要です。

少しの時間なら電源を切っても中身は溶けない

また、火災防止の観点から、トンネル内には熱感知器も設置されています。冷凍コンテナのディーゼルエンジンが動いたままだと、この熱感知器が反応してしまうのですね。

というわけで、ディーゼルエンジンで稼働させる冷凍コンテナは、火気厳禁および熱感知器に引っ掛からないようにするため、青函トンネル内では電源を切らないといけません。

「おいおい、そんなことしたらコンテナ内の冷凍品が溶けちゃうじゃん」

そう思った人、大丈夫です。
冷凍コンテナは断熱性能に優れているので、青函トンネルを通過する1時間くらいでは、中のものは溶けたりしないそうです。

入口の信号機も連動している!

もし、ディーゼルエンジンを切り忘れて青函トンネルに突入してしまうと、熱感知器が反応してしまいます。それを防ぐため、ディーゼルエンジンが「入」のままの列車は、トンネル内に進入できない仕組みになっています。

具体的には、すべてのディーゼルエンジンが「切」になっていないと、青函トンネル入口の信号機は「青」になりません。ディーゼルエンジンの「切」情報と信号機を連動させることで、誤進入を防いでいるわけです。

「青函トンネル通過禁止」と書かれたコンテナ

冷凍コンテナにはGPSが搭載されており、トンネル入口で自動的に電源が切れるようになっています。そして、トンネルを出ると自動的に再起動して電源が入ります。

この「GPSによる電源自動切入システム」を搭載していないコンテナは、青函トンネルに突入することができません。そういうコンテナには、「青函トンネル通過禁止」の文字が書かれているんですね。↓の写真をご覧ください。

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写真が粗くて申し訳ないのですが、コンテナの右下の方に、「青函トンネル通過禁止」と書かれています。このコンテナは、「GPSによる電源自動切入システム」を積んでいないことがわかります。

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