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ホームドアの「障害物検知センサー」は感度が良すぎてはダメ!

全国的に設置が進むホームドア。鉄道での死傷事故は、「ホーム上で列車と触車」や「ホームからの転落」といったケースが多いですから、ホームドアがあるだけで安全度がグッと上がります。

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人身事故の確率を激減させてくれる、まさにホームドア様様なのですが、設置する側からすると、いろいろ難しい面もあります。そのあたりの裏話をひとつ紹介しましょう。

ホームドアには「障害物検知センサー」がついている

ホームドアには、扉が開閉する機構だけでなく、「障害物検知センサー」が設置されているのはご存知でしょうか? ↓の図をご覧ください。

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図の赤矢印で示した部分、ホームドアと車両の間には隙間があります。もし何かの手違いや見落としがあって、この隙間に人が取り残されたまま列車が動き出したら、危険極まりないですよね。

そのため、もし人などの障害物があった場合に感知できるよう、この部分にはセンサーが張られています。赤外線センサーみたいなものを想像してもらえればいいです。

センサーの感度が良すぎると逆に困る

ここからが本日のテーマ。

何のセンサーでもそうですが、感度をどれくらいのレベルに設定するか? という問題があります。別の言い方をすれば、どの程度の大きさや厚みの障害物で「障害物あり!」と反応させればよいのか?

「障害物を検知するためのセンサーなのだから、感度は高ければ高いほどいいに決まってる」

そう考えた人、残念ながら不正解です。

実はこの障害物検知センサー、感度が高ければ高いほどよいわけではありません。あまりにも感度が良すぎると、どうでもいいモノにまで反応してしまい、逆に困るのです。

たとえば、蜘蛛の巣や、ちょっとしたゴミの付着。こういったモノにまでいちいち「障害物あり!」とセンサーが反応していたら、その都度列車の発車を見合わせて安全確認をしなければなりません。それでは列車の円滑な運行が阻害されます。

過ぎたるは猶及ばざるが如し 結局は程度の問題

かといって、センサーの感度を低くしすぎると、今度は本物の危険が生じたときに感知できない。ですので、センサーの感度をどれくらいに設定するかは、非常にデリケートで難しい問題なのです。

「なんでも程度の問題だね。強けりゃいいってもんじゃない」

刑事ドラマ『相棒』での犯人のセリフ(Season7『レベル4・後編』)ですが、今回の記事で伝えたい教訓は、この一言に尽きます。

「結局は程度の問題」という概念は、大昔から語られてきました。かの有名な『論語』も、以下のように言ってますよね。

過ぎたるは猶及ばざるが如し

「なんでもかんでも、とにかく精度を高めればいい」ではなく、バランス感覚を意識しましょう。コロナ禍も、過剰な自粛や対策の副作用があちこちに出ていますが、まさにバランス感覚の欠如だと思います。

ホームドアの天敵はセンサーを遮る雪

最後に、もう一つセンサー絡みの雑学。屋外に設置されているホームドアの「天敵」をご存知でしょうか?

です。

ホームドアの周囲に雪が付着すると、センサーが反応することがあります。放っておくと、あちこちのドアで「障害物あり!」「障害物あり!」となって、収拾がつかなくなる。

それを防ぐため、雪が積もってきたら、係員を派遣して掃除(=雪を払いのける)しなければなりません。私にその話を教えてくれた人いわく、「雪に対する有効な手立てはなく、人海戦術に頼るしかない」そうです。

もっとも、それは一昔前のホームドアの話。近年は技術の向上によって、雪を上手に“スルー”できるようになってきています。

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本記事の写真提供 marunkunさん

本記事内のホームドアの写真は、はてなブロガー・marunkunさんが運営する『マルーンの部屋』から拝借しました。写真使用の許可をいただき、ありがとうございました(^^)

『マルーンの部屋』は、東海・近畿地方を中心とした鉄道 & バスのブログ。「考察系・図鑑」といった雰囲気で、そういうのが好きな人はオススメです。また、写真撮影では面白い構図が出てきたりします(例:名鉄の特急車両四並び)。