現役鉄道マンによる鉄道雑学のブログ

趣味で鉄道好きな人はもちろん、就職・転職等で鉄道業界に興味がある人もどうぞ! 現役鉄道マンが、鉄道の雑学や裏話を語ります。

強風で運転見合わせ その裏側とは(2)

こんにちは、現役鉄道マンのKYSです。

8月末くらいから、大雨や強風に関する話を続けていましたが、京急の脱線事故についての記事を挟んだので、間隔がだいぶ空いてしまいました。
今回の記事は、↓の記事の関連ものです。

blog.kys-honpo.com


さて、ちょうど台風の季節なので、雨と風に関する知識をおさらいします。

鉄道会社や線区によって差はありますが、一般的には瞬間最大風速20~30m/sで運転見合わせ、1時間あたりの雨量が40~50ミリで運転見合わせ。

2・3・4・5という並びの数字になっているので、覚えやすいと思います。
この数字を知っていれば、気象情報の数字から鉄道の運行予測ができます。
知っておいて損はないでしょう。

 

架線支障の「犯人」はビニール系がほとんど


さて、ここからが今日の話。

強風のときによくあるのが、「飛来物が架線に引っ掛かったため運転見合わせ」という事態。

ご存知のように、電車はパンタグラフで架線から電気を受け取り、その電気で走っています。
架線に飛来物が引っ掛かっていると、架線とパンタグラフの接触に影響を及ぼすので、そこを通過することができない。
そのため、飛来物を撤去するまでは運転見合わせにせざるをえない。

こういう理屈です。

ですから、電車ではなく気動車(ディーゼルカー)が走っている地域では、そういう事態は起こりえないわけです。
気動車が走る線路には、そもそも架線がないわけですから。

私の経験上、架線に引っ掛かることが多いものリストは、以下の通りです。

・ビニール袋(スーパーの袋やごみ袋)
・ビニールテープ
・ビニールカバー(自転車やバイクにかぶせるやつ)
・風船
・ふとん(!)


架線に引っ掛かるものの大半はビニール系、その中でもビニール袋が多いです。
我々の生活に欠かせないビニール袋は、使い捨ての代表選手みたいなもの。
ですから、自分の手元からビニール袋が一枚飛ばされたところで、「やっべえ!」と感じる人は、ほとんどいないと思います。

しかし、たった一枚のビニール袋が鉄道のダイヤをぐちゃぐちゃにし、何万人ものお客様に迷惑をかけることがあるのです。

ビニール袋は架線に複雑に絡んでしまうことがあるので、撤去に時間がかかることもあります。

線路の外から飛んでくるビニールは、鉄道会社からすれば不可抗力であって、対策のしようがありません。
ですので、国民全体の理解と協力がないと、こうしたトラブルを防ぐのは難しいのが現状です。
この記事を読んでいるみなさん、ビニール袋は安易に飛ばさないようお願いします。

珍しい架線支障の犯人


あとはたまにある例として、風船

あるとき、当該のブツを撤去して調べたら、沿線の結婚式場から飛ばされたものだと判明したことがあります。
あれですね、新郎新婦をお祝いするために風船を飛ばしたんですね。
お祝いするのはけっこうですが、電車が走っているところの近くで風船はちょっと……。

ちなみに、この結婚式場には会社として申し入れをし、風船を飛ばすのはやめてもらいました。

みなさんが、もし何かのイベントを企画するとして、風船を飛ばすようなことがあったら、そのときは近くに鉄道がないかを考慮してくれると助かります。

それから……かなり珍しい例ですが、ふとんが引っ掛かっていたことも。
敷き布団ではなく薄手の掛け布団でしたが。

おそらく、線路のすぐそばの高層マンションでベランダに干されていたものが、風で飛ばされてきたのだと思います。
都心ではマンションがどんどん増えていますから、そうしたところにお住まいの方は、ベランダに布団を干すときは飛ばされないよう注意してほしいと思います。
まあ、布団はビニール袋みたいに架線に絡みつくことはなく、ちょっと棒で叩けば落とせるので撤去は楽ですが。

台風のときは意外と飛来物は少ない


さて、最後にちょっと意外な話を一つ。

どのようなときに、架線に飛来物が引っ掛かるトラブルが多いのでしょうか?

「そりゃー台風のときじゃないの?」

そう予想するのが普通の感覚ですよね。
しかし私の経験上、台風のときって、飛来物が架線に引っ掛かることは案外少ないんですね。
(もちろん多少は発生しますが)

上で挙げたように、飛来物はビニール系のものが大半です。
台風によって雨が降ると、ビニールに雨水が付着して重くなったり、どこかにペッタリと貼り付くなどして、飛ばされにくくなる。
また、仮に飛ばされたとしても、強烈な雨によって叩き落される。
おそらく、そういう理由なのだと思います。

さらに、台風のときは対応要員として保線係員などがスタンバイしていますから、トラブルがあっても迅速な対応が可能です。

ですから、飛来物が一番怖いのは「雨がなくて風が強い日」なのです。
たとえば、台風が通過した翌日や、春一番のときなんかは要注意ですね。

そういう日は晴れていることも多いため、「平常運行だろう」と利用者側も油断しがち。
そこに「架線に支障物で運転見合わせ」となって、「えっ」と慌てた経験がある方もいるのではないでしょうか。

「雨がなくて風が強い日」に鉄道を使う人は注意してください。
出掛ける用事があるなら、鉄道の運行情報をマメにチェックするとか、万一に備えて他のルートを検索しておくとか、そのくらいの予防措置はしておいたほうがいいと思います。