現役鉄道マンのブログ 鉄道雑学や就職情報

趣味で鉄道好きな人はもちろん、就職・転職等で鉄道業界に興味がある人もどうぞ! 現役鉄道マンが、鉄道の雑学や裏話を語ります。

「コミュニケーション能力」って結局はどういう能力?

コミュニケーション能力の「定義」ってなに?

昔から、私がものすごく疑問に思っていることです。
今回の記事では、就職活動で頻出の単語・コミュニケーション能力について書きます。

 

あなたはコミュニケーション能力の「定義」を答えられる?


「仕事において大切なのはコミュニケーション能力です」

これ、あちこちで言われていますよね。
採用情報ページの「先輩社員へのインタビュー」みたいな記事でも、就職活動系のブログでも、お決まりのように書かれている文言です。

また、会社側が「選考にあたって重視する点」として、コミュニケーション能力は毎年のように1位になっています。

そんな世の中に対して問いたい。

コミュニケーション能力って、なに?
別の言い方をすれば、コミュニケーション能力の「定義」とは?

曖昧なモノサシが採用の判断基準になっている


この問いにキチンと答えられる人が、はたしてどれくらいいるでしょうか?
あくまで私の想像ですが、ほとんどの人は答えに詰まるのではないでしょうか。

仮にそうだとしたら、定義がはっきりしないものを基準にして、採用活動が行われていることになります。
そんな曖昧なモノを判断基準にされたら、学生だって、どう対応すればいいのか困るでしょう。

コミュニケーション能力という言葉は漠然としています。
ですから、まずはキチンと定義したうえで「大切な能力だよ」と言うべきだと思うのです。
それをせずに「コミュニケーション能力は大事」と言うことこそ、コミュニケーション能力の欠如じゃね? と感じるのは私だけでしょうか。

鉄道マンの私が考える「コミュニケーション能力の定義」とは


前置きはこれくらいにして、いよいよ本題に入りましょう。
鉄道マンとして、それなりに長い年数働いてきた私が考える「コミュニケーション能力の定義」とは、次の通りです。

① 自分の意図を正しく相手に伝える能力
② 相手の意図を正しく理解する能力


もちろん、この定義が唯一の絶対解だとは言いません。
他にも、いろいろな考え方があるでしょう。

また、立場や場面によっても定義の仕方は変わります。
たとえば、「婚活で必要なコミュニケーション能力」と「鉄道マンとして必要なコミュニケーション能力」は、明らかに違うでしょう。

先ほど私が示した①②は、「鉄道マンとしての立場」「鉄道の現場で働く場面」という観点からの定義であることを、ご了承ください。

いや、立場や場面で定義がコロコロ変わるからこそ、コミュニケーション能力という言葉は曖昧で難しいのですが……。
とにかく、自分なりに定義をすることが大切だと思います。

「意図を正しく伝達・理解する能力」とは?


少し話が逸れました。
もう一度、私が考える「コミュニケーション能力の定義」を書いておきます。

① 自分の意図を正しく相手に伝える能力
② 相手の意図を正しく理解する能力


詳しく説明していきましょう。

① 自分の意図を正しく相手に伝える能力


自分の意図を正しく相手に伝える能力。
噛み砕いて言えば、「〇〇をやってほしい」と伝えたら、相手がこちらの意図した通りに動いてくれること。

誰でも一度は、「ちがあああう! 俺が言いたかったのは、そういうことじゃない!」という経験をしたことがあるでしょう。
そういう状態に陥らないための能力、とも言えます。

② 相手の意図を正しく理解する能力


①の裏返しともいえるのが、相手の意図を正しく理解する能力。

仕事をする上では、「作業の根拠となるモノ」が存在します。
規定やマニュアル、上司からの口頭指示や指示文書、他部署からのお願い……などです。

これらの内容を正しく理解し、相手が意図した通りの働きをすることが、仕事では求められます。
そのために必要な能力です。

コミュニケーション能力とは「感じの良さ」ではない


自分の意図を相手に正しく伝えられず、曖昧な指示を出す。
相手の意図を理解できず、トンチンカンな行動をする。

これでは仕事がスムーズに進みません。
このような社員は、いくら「感じがよくて話しやすい人」だとしても、コミュニケーション能力があると評価されることはないでしょう。

鉄道会社の現場は、連携プレーで動いています。
ですから、「お互いの意図を正しく伝達・理解する能力」が重要なのです。

たとえば私は、列車の運行管理を行う「指令」という仕事をしています。
日常の仕事の中で、いろいろな部署に指示を出したり、逆に要請を受けたりするんですね。
駅の窓口や信号制御担当、列車に乗っている運転士や車掌、運転区(乗務員の管理をする部署)、工事の担当者、他会社の指令……などです。

カッコよく言えば、「情報を整理して全体を取りまとめる仕事」でしょうか(笑)

意図が正しく伝わらなかったせいで起きた死亡事故


こういう仕事では、「意図を正しく伝達・理解する能力」がないと、致命的なミスを犯す可能性があります。
実際、意図が正確に伝わらなかったことが原因で人が死傷した事故もあります。

有名なのは、2002(平成14)年11月6日、JR西日本の塚本駅付近で発生した救急隊員の死傷事故でしょうか。

これはいわゆる「二次災害」の事故で……

まず、線路内に侵入して遊んでいた中学生が列車にはねられる人身事故が発生。
乗務員・駅員・指令員・警察・救急隊が、互いに連絡を取りながら、人身事故の対応をしていました。

ところが、関係者間で意図がうまく伝わらず、現状認識がお互いにバラバラな状態になっていきます。

なんとその結果、線路内で救急隊による救護作業が行われている最中にも関わらず、特急列車が通常の速度で走ってくるという、信じられない事態を招きます。
線路内で救護作業をしていた救急隊員が、走ってきた特急列車にはねられて亡くなりました。

① 自分の意図を正しく相手に伝える
② 相手の意図を正しく理解する


これができなかったばかりに、人を殺してしまった事故です。
こんなことで死んだらタマランですよ、ホントに……。
遺族だってやりきれないでしょう。

コミュニケーション能力向上のためのオススメ本


この仕事をやっていると、「鉄道の仕事は関係各所の連携プレー」であり、「意図を正確に伝達・理解することの大切さ」を痛感する場面がよくあります。
だからこそ、私はコミュニケーション能力を①②のように定義した次第です。

ちなみに、私がブログを書くのは、文章作成を通して「鉄道マンとしての言葉力を磨く」という目的もあります。

さて、最後に本の紹介をして〆ましょう。
「意図を正しく伝達するスキル」を身に付けるために、私がオススメするのは以下の3冊。

新装版「分かりやすい表現」の技術 意図を正しく伝えるための16のルール

新装版「分かりやすい表現」の技術 意図を正しく伝えるための16のルール

  • 作者:藤沢晃治
  • 発売日: 2020/01/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 


下の2冊はちょっと古いですが、版を重ねているので、大きな書店に行けば見つかるでしょう。
就職活動にも使えるし、社会人になってからも役立ちます。

この3冊ですが、ぶっちゃけ、当たり前のことしか書かれていません。
しかし、その当たり前のことを学ぶ機会が、今の世の中では意外とない。
「表現の技術・説明の技術・文章の書き方、きちんと教わったことがない」という人なら、一読する価値はあります。
また、「わかりやすい記事が書けなくて……」と悩んでいるブロガーさんの参考にもなると思います。


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