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リニア開業が遅れるとJR東海は倒産の危機に瀕する?

コロナの影響で、2020年4月の東海道新幹線は、利用客が85~90%減少。
もしこの状況が1年間続いたら、JR東海は数千億円の赤字になるかも。
それだけの赤字が出たら、リニア建設の資金計画が狂い、リニア開業の遅れにつながるのでは。


前回前々回の記事は、↑のような内容でした。
言ってみれば、コロナウイルスが「リニア開業前」にどのような影響をもたらすか? という話でしたね。
今回の記事では視点を変えて、「リニア開業後」の考察をしていきます。

リニア建設のための借金3兆円は元本返済を30年猶予


今回の記事のキーワードは「借金」です。

前回の記事でも触れましたが、JR東海はリニアの工事費用の一部を借金で賄っています。
2016(平成28)年、JR東海は、「財政投融資」という制度で国から3兆円の融資を受けました。
これは借金なので、いずれは返さないといけないのですが、返済計画はどうなっているのでしょうか?

返済計画は「40年ローン」です。

ただし、借り入れから30年間は元本返済は猶予され、利息のみを支払います。
30年経過後、つまり2046(令和28)年から元本の返済も開始。
毎年3,000億円ずつの返済 × 10年で3兆円を返します。

なぜ、最初の30年は元本を返済しなくてよいのか?

リニア建設中は、カネが大量に出ていきます。
リニア開業後しばらくは、大規模工事を終えたばかりなので、財政的な体力が落ちています。
そういう時期に借金の返済を迫られたら苦しいですよね。

リニア開業後、しばらくして会社の体力が回復してから、つまりカネ(キャッシュ)が増え始めてから返済を始められるよう考慮されているわけです。

早くリニアを開業させてカネを貯めないと危ない


別の言い方をすると、JR東海としては、早くリニアを開業させなければいけません。

もし開業が遅れると、どうなるか?
「リニア建設中~開業後数年間」という、カネ(キャッシュ)が大量流出・減少する時期を通り抜ける前に、元本返済期間が始まってしまいます。
ようするに、財政的な体力が回復する前に、毎年3,000億円の返済をしなければいけなくなる、というわけ。

いくらガッポリ稼いでいるJR東海といえども、毎年3,000億円の返済ともなると大変なはず。
タイミングを誤れば、資金がショートして倒産する可能性があるかもしれません。

前回の記事では、「コロナウイルスによる売上減で、リニア開業にも遅れが出るのでは?」と書きました。
さらに、「リニア開業が遅れた場合、JR東海は2050(令和32)年くらいに倒産の危機に立たされるかも」とも書きました。

上でも説明したとおり、元本返済は2046(令和28)年から始まります。
リニア開業が遅れ、手持ちのカネが不十分な状態で2046年を迎えた場合、4~5年後くらいにカネが回らなくなるのでは、という読みです。
現在のコロナウイルス騒動が、30年後くらいになってジワジワ効いてくるかもしれません。

なお、コロナウイルスとは関係ありませんが、現在、JR東海はリニアの建設工事を巡って静岡県と揉めています。
2027(令和9)年の開業には、すでに間に合わないという見方も濃厚です。

リニア開業の遅れは、将来的な会社の生死に関わってくるわけですから、工事を遅らせる静岡県(別に静岡県が悪と言っているわけではないですよ)に対して、JR東海は殺意を覚えているかもしれません。
いや、冗談じゃなくマジで。

開業が遅れたら運賃・料金は値上げ?


もしリニア開業が遅れ、さらに(可能性は低いですが)不幸なことに私の心配が当たってしまったとします。
JR東海としても、みすみす倒産するわけにはいきませんから、何か手を打つはずです。
たとえば、パッと思いつくのは以下の二つです。

① 返済計画の見直し

融資元の国にお願いして、返済期限を延ばしてもらう。
元本の返済は「毎年3,000億円 × 10年」の計画ですが、たとえばこれを「毎年1,500億円 × 20年」に変更する。
そうすれば、一度にカネが大量流出しなくなるので、資金繰りも楽になります。

② リニアの運賃・料金の値上げ

リニアの運賃・料金がどうなるかは、現時点では未定です。
ただし、目安というか、見通しのようなものは存在するようで、現行の新幹線運賃・料金よりも1,000円ほどアップさせるという情報もあります。

開業遅れの影響で、もし借金返済が苦しくなるという予測が出たらどうなるか?
返済原資の確保のために、たとえば現行よりも2,000円アップさせるようなことがあるかもしれません。

いろいろな借金や支払いで大変なJR東海


読者のみなさんの中には、「開業が2~3年遅れたって、どうってことはないでしょ」と思っている人もいるかもしれませんね。
まあ国民の目線からは確かにそうかもしれませんが、3兆円の借金をしたJR東海としては、どうってこと大アリのはずです。
それを理解できると、リニア問題を少し違った目で見ることができると思います。

なお、借金の話ついでに触れておくと……。

JR東海は国からの3兆円のほかにも、金融機関等からの借入金が約6,900億円、社債の額が約7,700億円。
また、民営化後に東海道新幹線を“買い取った”のですが、購入費用のうち、未払い分が約5,400億円。
(いずれも2019年3月現在)

早い話、借金が約5兆円あるわけ。
まあ、リニアのような大規模事業を抱えていれば、自己資金だけでは到底足りないので、借金が多くなるのも当然なんですが……。

これだけ借金があると、支払う利息もけっこうな金額になります。
3兆円の借金に対する利息 + 金融機関等への支払利息が約330億円。
社債の利息が約130億円。
東海道新幹線の購入ローンの利息が約350億円。

○○利息という名目で、毎年800億円近くを払っているわけです。
大変だわあ……。

ついでに言うと、スーパー黒字企業なので法人税等をガッポリ取られます。
2018(平成30)年度の決算では、約1,700億円を納めています。

JR東海というと、強靭! 無敵! 最強!(笑)のイメージがあります。
もちろんその通りなのですが、このように支払いがたくさんありますし、将来の毎年3,000億円返済があることも含めれば、実はけっこう苦労の多い会社かもしれません。


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