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省エネ運転 運転士は節電のために何を意識すべきか

東京電力のマスコットキャラクター・でんこって知ってます?

おそらく、若い人は「何ソレ?」という反応で、私のようなオッサン世代なら、「あぁ~でんこ。そういえばいたいたw」と頷いてくれるのではないでしょうか。

でんことは、東京電力が広報のために作ったキャラクターで、本名は分電でんこといいます。「電気を大切にね!」が口癖。なお、旦那さんは電気をあまり大切にせず、節電意識に欠けているらしい(笑)

電気をムダにしない「経済運転」 運転士の心得4つ

今回の記事のテーマは、節電・省エネです。具体的には、「電車を運転する際、運転士は節電のために何を意識すべきか?」です。

電車というマシーンは、バカみたいに電気を喰います。あれだけ巨大な物体を高速で走らせていますから、必要なエネルギーが相当な量になるのは、容易に想像がつくでしょう。

編成両数や速度にもよりますが、一駅運転するだけで、家庭で一日に使う量ほどの電気を消費することもあります。そのあたりは↓の記事に詳しいのでどうぞ。

少しの運転操作の違いで、節電・省エネ度合いは大きく変わってきます。たとえば、運転操作を工夫して、A駅~B駅の一区間で10%節電の運転が実現できた。たった10%オフですが、これを家庭換算すると、電子レンジ2~3時間使う分くらいの電気は浮くでしょう。

電気をムダにしない運転を経済運転と呼びます。そのために、運転士はどのようなことを心掛けているのでしょうか? 私の経験からすると、心得は以下の4つです。

  1. スピードを出し過ぎて早着しない
  2. 適切なブレーキ扱いをする
  3. 必要以上に速度を低下させない
  4. 列車を遅延させない

心得壱 スピードを出し過ぎて早着しない

経済運転の心掛けその1。スピードを出し過ぎて早着しない。早着とは、指定された到着時刻よりも駅に早く着いてしまうことです。

いるんですよ、明らかに必要以上の速度を出して早着する「スピード狂」の運転士が。今の一区間の運転で、電子レンジ何時間分の電気を余計にムダにした? でんこも激おこ(←古い)です。

ただ、早着は絶対ダメかというと、そういうわけでもなくて……。たとえばラッシュ時間帯なら、駅での乗降時分をしっかり確保するために、早着を狙うぐらいのつもりで運転した方がよいとの考え方もあります。

まあ、乗客の少ない早朝深夜・真っ昼間にガンガン飛ばして、駅で停車時分が長くなるようなケースは、明らかに運転士の節電意識が足りないです。

その他、「スピード狂」とは別の原因で、腕が未熟で速度を高くせざるをえない、というケースもあります。簡単に言うと、運転が上手な人ほど、速度を抑えつつ定時運転ができます。逆に言うと、下手な運転士ほどガンガン飛ばす、ということ。

見習運転士のような未熟者だと、速度を抑えた運転は難しいです。私もそうで、見習運転士のときよりも、独り立ちしてからの方が、明らかに低い速度で走れるようになりました。

心得弐 早すぎず遅すぎず 適切なブレーキ扱い

経済運転の心掛けその2。適切なブレーキ扱いをする。

駅停車時、ブレーキを早く掛けすぎると、トロトロの速度での進入になってしまい、ゴール地点にたどり着くまで時間がかかります。そうなると列車が遅れ気味になり、それを取り戻すため、速度を高くせざるをえなくなります。言うまでもなく、電気のムダですね。

かといって、あまりギリギリまで我慢してからのブレーキだと、今度はオーバーランの危険があります。

節電的な視点では、オーバーランなど論外。まず、所定位置までバックするための電力が余計です。さらに、オーバーランの処置で列車は大幅に遅れるので、やはり高い速度での運転が必要に。でんこも激おこぷんぷん丸(←古い)です。

心得参 必要以上に速度を低下させない

経済運転の心掛けその3。必要以上に速度を低下させない。

急なカーブや下り坂、ポイントには、速度制限が存在します。こういう箇所を通過するとき、あまり速度を落としすぎるのも電気のムダ。

制限60㎞/hのカーブを40㎞/hで通過するようなことをしていると、通過に時間がかかって列車が遅れ、カーブを抜けた後に再加速するのにも余計な電力が必要になります。でんこもムカ着火ファイヤー(←熱い)です。

もっとも、常に制限速度いっぱいで通過するのが正しいかというと、それも違いますが……。乗り心地が悪くなることもあるので、そこはバランスの問題でしょう。意識の高い運転士は、そのあたりもちゃんと研究しています。

心得肆 列車を遅延させない

経済運転の心掛けその4。列車を遅延させない。定時運転をキープすることです。

前々項の「適切なブレーキ扱い」、前項の「速度を低下させすぎない」と根っこの考え方は同じです。列車が遅れれば、それを取り戻すために余計な加速 = 電力が必要になります。

ただ、前々項・前項では「自列車」が余計な電力を喰うという観点でしたが、本項で考えたいのは「他列車」への影響です。

わかりやすい例として、単線区間では一本の列車が遅れれば、それが行き違い列車にも影響し、遅れが全体に波及します。「掛け算効果」による無駄な電力使用ダメージは甚大なのです。でんこもカム着火インフェルノォオオォオォォゥ(←長い)です。

ちなみに、定時運転のためには、運転士の腕だけではなく車掌の腕も必要になります。簡単に言えば、ドアの開閉でモタついて時間を喰うと定時運転が難しくなるので、スムーズなドア扱いが求められます。

電気を大切にね!

  1. スピードを出しすぎて早着しない
  2. 適切なブレーキ扱いをする
  3. 必要以上に速度を低下させない
  4. 列車を遅延させない

以上、電気をムダにしない経済運転の心得でした。あくまで個人的な意見なので、他の運転士に聞けば、また違った心得も出てくると思います。

単に定時運転を行うだけでなく、節電にまで配慮できるようになると、視野の広い一人前の運転士といえます。でんこを激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム(←ワケわからん)させないよう、腕を磨きましょう。

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