今日は、ちょっとマニアックな鉄道現場の雑学です。
みなさんご存じのように、鉄道マンには泊まり勤務があります。泊まり勤務ということは途中で仮眠をするのですが、ふとんや枕には、シーツや枕カバーをかけて使いますよね。
このシーツや枕カバーの扱いひとつとっても、鉄道会社ごとにやり方が違っていて面白いものです。
仮眠室のシーツや枕カバー 社員に貸与するケースもある
たとえば、制服の貸与と同じように、社員にシーツ類も貸与する鉄道会社があります。
乗務員が大きなカバンを持っているのを見たことあるでしょうが、乗務員はあの中にシーツ類を入れて持ち運び、出先の仮眠室で取り出してセットする。使ったシーツ類は持って帰り、また次の泊まり勤務のときに持参する……という具合です。
シーツ類を社員に貸与しない場合は、会社側が準備します。会社側は仮眠室にシーツ類を置いておき、仮眠する社員が自分でセットする。
至れり尽くせりのケースだと、セットまで会社側が済ませてくれる(=寝に行ったときにはベッドメイクが完了している)ことも。
ちなみに、特急列車や新幹線の座席の背もたれには、白いカバーがかかっていますよね。あれはリネン類を扱うグループ会社による仕事です。そういうリネン会社が、仮眠室のシーツや枕カバーも管理していたりします。
コロナ対策ガイドラインで「毎日交換が望ましい」と明記
ところで、新型コロナ感染拡大に伴い、鉄道業界でも対策用のガイドラインが制定されています(→鉄軌道事業における新型コロナウイルス感染症対策に関するガイドライン)。その中に、従業員の感染防止対策として、次のような一文があります。
ようは感染防止のためにシーツ類は毎日換えろということですが……「えっ、こういう文言が出てくるってことは、毎日は交換しないのが標準だったの?」と思う人もいるでしょう。
ホテルだったら、前の客が使ったシーツ類を次の客に使い回すことは考えられませんが、鉄道現場ではそれが普通にあります。というのも、一晩の仮眠で4~5時間しか使いませんから、シーツ類はほとんど汚れません。それを毎日交換していたら、割に合わなさすぎます。
みなさんだって、自分の家のシーツ類を使うたびに、つまり毎日洗濯はしないはず。それと同じで、仮眠室のシーツ類を毎日換えるのはハードルが高いのです。
「他の人が使ったままのふとんや枕なんてムリィィィ!!」という人は、鉄道の現場仕事には向かないですね。ただし現在は、先ほど紹介したガイドラインに従って、毎日シーツ類を交換する鉄道会社が増えたはずなので、少し事情は変わりましたが……。
といっても、会社からすれば余計なコスト以外の何物でもありませんから、コロナ禍終結後には元通りになるのではないでしょうか。