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ムーンライトながらの裏話 乗務員にとっては大変な列車だった?

2021(令和3)年1月22日、JR東日本とJR東海は、東京と大垣を結ぶ夜間快速・ムーンライトながら(以下、MLながら)の廃止を発表しました。旅客動向や車両老朽化が理由とのこと。いつかは訪れる事態とわかってはいたものの、鉄道ファンには納得できない人もいるかもしれませんね。

185系で運転されるМLながら

今回はMLながら追悼記念(?)ということで、乗務経験のある方から聞いたエピソードをいくつか紹介します。

ながらといえば不正乗車!? 寝たフリで車掌をやり過ごす

Q.ながらといえば?
A.不正乗車のデパート

……と言ってよいほど、MLながらは不正乗車する輩が多い! これは業界内だけではなく、鉄道ファンにもわりと知られている話だと思います。

具体的には、正当な乗車券類を持たずに乗車し、車掌が車内改札に来たら寝たフリでやり過ごすという手口。MLながらの車掌経験者は、「不正乗車する輩が多すぎ。対応がめんどうで……」と呆れていました。

不正乗車への対応も仕事と言われればそれまでですが、そんな後ろ向きな仕事、誰もやりたくありません。私も乗務員時代、車内トラブルの類は何度か経験しましたが、「勘弁してよ」というのが正直なところ。

みなさん、鉄道を利用するときにはルールを守りましょう。

普段は停めない位置に停めるのでブレーキが難しい

さて、次の話。
MLながら、JR東海の運転士にはブレーキが難しかったそうです。

なぜか?

列車というものは、両数によって駅での停止位置(=ホームのどこに停めるか?)が異なります。JR東海管内において、東海道線の列車は一部を除いてMAX8両なので、9~10両のMLながらを停止させる位置へは、ほとんど停める機会がない。そのため、ブレーキ感覚がいつもと違ってくるので難しいわけです。

この点が、10両以上がスタンダードのJR東日本管内との違いですね。

JR東海の感覚では「長い」列車

これは私も経験がありますが、めったに停めない位置へのブレーキ操作は難しいです。「だいたいこのへんからブレーキ」という“距離感”がいつもと違うので、実力(?)が出せなかったりします。安全策で早め早めにブレーキを掛けて、最後はチンタラになってしまうという……(笑)

運転室の暖房が効かずに寒かった165系

さて、最後の話。
MLながらには、前身の「大垣夜行」まで含めると、さまざまな車両が使われてきましたが、165系(だったと思います)でのエピソード。

165系、運転室の暖房が全然効かず、冬はクソ寒かったそうです。

そのため、どうしてもトイレが近くなる。お小水用にビニール袋を持参して乗務する人もいたのだとか。現代ほどペットボトルが普及していない時代でしたから、ビニール袋なんですね。

まあ、運転室の空調が効かなかったとか、乗務中のトイレ問題は、MLながらや165系車両に限った話ではありませんが。

お小水シーンを客室から覗かれでもしたらヤバいじゃん! と思うかもしれませんが、現代と違って、昔は運転室後ろの遮光幕を「全閉」にしていましたから、見られる心配はなかったのですね。

……とまあ、運行に携わる運転士・車掌の立場からすると、MLながらはいろいろ大変な列車だったようです。今回の廃止、現場はホッとしているかもしれません。

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本記事の写真提供 ふみとつさん

本記事内の写真は、ふみとつさんが運営する『快速の部屋』から拝借しました。ありがとうございました(^^)

ふみとつさんも鉄道員だそうで、『快速の部屋』は鉄道関係の記事がしっかりしています。また、10年以上続くブログということもあり、旅行記や撮影記では、すでに姿を消した懐かしの車両が多く見られます。