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【鉄道会社への就職】「強み」をどうアピールするか?(6)

今回も、就職活動の記事です。「就職活動で自分の強みをどうアピールするか?」に悩んでいる鉄道志望の学生さん、そんな人向けの記事第6弾。

また、悪い意味での集団主義に陥りがちな日本人への警鐘も含めた記事です。社会人の方の参考にもなるかと思います。

鉄道会社に「強み」をアピールするための基礎知識

まずは、鉄道会社に強みをアピールするための基礎知識を、カンタンにまとめておきます。

強みとは、「相手が求めるもの」とマッチして初めて意味があります。たとえば、160㎞/hの豪速球が投げられるとしても、それは鉄道会社が社員に求めるスキルとは合致しないので、強みとしてアピールしても無意味です。

では、鉄道会社が社員に求めるものとは何か? それはやはり、安全を守れることです。

現役鉄道マンである私が考える「安全を守れる人」とは、以下の通りです。

  • ラクな方向に流されない人
  • 厳しい指導にも負けない打たれ強い人
  • 上司や先輩にも物怖じせず意見を言える人
  • 同調圧力に屈しない人
  • 人の言うことを鵜呑みにしない人
  • わかりやすい説明ができる人
  • 「他山の石」を活用できる人

今回の記事では、「同調圧力に屈しない人」の説明をします。

信楽高原鉄道での正面衝突事故

「そんなの間違ってるでしょ」と思いつつも、場の同調圧力に抗えず、NOと言えなかった……。読者のみなさんも、一度はそんな経験があるのではないでしょうか。

1991(平成3)年の信楽高原鉄道の正面衝突事故も、そんな同調圧力が原因で引き起こされた事故といえます。

正面衝突の直接的な原因は、「閉そく」というルールを破ったこと。

このとき、信楽高原鉄道では信号機の故障が発生していました。信号機とは、列車同士がぶつからないように安全を確保するための装置。それが故障したのであれば、他の安全確保の手段を講じなければいけません。

ところが、このとき信楽高原鉄道では、代替の安全確保手段を採らないまま、列車を発車させてしまいました。つまり、列車同士がぶつからないという「安全な状態」を作らないまま、列車を走らせたわけ。

その結果が、列車の正面衝突で死者42人という大惨事です。

「ルールに違反している」と認識しながら作業を続けた?

ようするに「ルールを守らなかったこと」が事故原因なのですが、なぜそんなことになったのか?

この事故でのルール違反は、かなり明白なもので、たとえて言うならば、赤信号なのに堂々と道路を横断するくらいのレベル。信楽高原鉄道の社員が「ルール違反だと知らなかった」という事態はありえません。

となると、関係社員全員が「いまルールを破っている」「間違った取扱いをしている」と認識していたでしょう。当然、「えっ、これってマズいんじゃないの?」と思った社員もいたはずです。

しかし結局、間違った取扱いが“通って”しまい、事故になった。

ルールを守る人間の方が間違いかのような雰囲気

なぜ、間違っていると知りながら、「これはマズいでしょ」と誰も声を上げられなかったのか?

そのあたりの分析や考察はいろいろされています。

信号機故障で列車が止まってしまい、早く運転再開させなきゃというプレッシャー。上司の意向には逆らえない、昭和的な悪しき上下関係。たぶん事故にはならないだろうという根拠のない予測。

こういった要素が絡まり合って、社員の間で「ルールを守らなくても大丈夫じゃない?」という雰囲気が広がり、それが同調圧力となって「マズいでしょ」の声が封じられてしまった。そういう背景があったのだと、私は考えます。

「赤信号、みんなで渡れば怖くない」になってしまい、あたかもルールを守る人間の方が間違いかのような雰囲気になる。これが同調圧力の厄介なところです。

あなたは一対多の状況で「NO!」と言えるか?

傍から見れば、情けない話と思うかもしれません。しかし、自分に置き換えて考えてみてください。

たとえ間違った方向といえど、周りの全員が動き出している。そんな中で、「みんな待って! それは間違ってるぞ!」と声を上げて制止できるでしょうか? 実際、信楽高原鉄道の事故では誰もできなかったわけです。

みなさんは、一対多の状況でも同調圧力に屈せず、必要ならば「NO!」と言える自信があるでしょうか?

「自信がある」と答えた学生さんは、鉄道の安全を守れる人です。↓の文例のようにアピールするのはアリでしょう。

私の強みは、自分が少数派だとしても、臆せずに意見を言えるところです。これは鉄道の安全を守るのに活かせると考えます。
鉄道の安全を守る根拠はルールやマニュアルであって、多数決ではありません。多数派のやり方が間違っていることもありえます。
そんなときに「多数派が言っているから」と臆して何も言えないのでは、安全は守れません。安易な同調傾向に陥らずに、自分の意見を主張できるのが、私の強みです。

グループディスカッションの場面では注意が必要

ただし、このアピールにはリスクもあります。グループディスカッションの場面です。

「少数派に回っても臆せず意見を出せるぜ」とアピールする以上は、そういう“見せ場”を作らないと、言行不一致と評価されてしまう可能性があります。「俺もこの考え方に賛成だなー」と思っても、あえて反対意見を唱えなければいけない場面に出くわすかもしれません。

「これでいいよね?」という雰囲気に逆らうには、根拠となる知識がある程度豊富なことが求められます。けっこう上級者向けなので、無理は禁物でしょう。

さて、最後に……先ほどの「同調圧力に屈しない自信があるか?」の問いですが、私の場合は、めっちゃ自信があります。周囲の人たちによる「私の人間評」は↓の通り。

妻「あなたってホント頑固よねぇー」
母「アンタはもう少し柔軟に人の意見を聞きなさい」
先輩「お前はもうちょっと空気読んだ方がいいよ」
上司「君、ずばずばモノを言うねえ」

こんな感じですから、同調圧力という攻撃、私には効果なしです(笑)

頑固・うるさ型・KYという人間像が見えてきそう(^^;) が、私としては、根拠を用意したうえで、自分が正しいと考えていることを主張しているだけのつもりなんですけどね……。
(根拠もなしにあれこれ言うだけなら、単なる迷惑な人ですが)

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