今回は、就職活動の記事です。
「就職活動で自分の強みをどうアピールするか?」に悩んでいる鉄道志望の学生さん、そんな人向けの記事第5弾です。
また、自己アピールのために大切な「再現性」というキーワードの解説もしますので、学生さんの参考になると思います。
- 鉄道会社に「強み」をアピールするための基礎知識
- 「事故る → 対策を立てる → 安全向上」のループ
- 他社事例を見て「ウチでも同じことは起きる?」と考える
- 学生でも「他山の石」の思考・行動はできる
- 「再現性」がないことはアピールしても無意味
鉄道会社に「強み」をアピールするための基礎知識
まずは、鉄道会社に強みをアピールするための基礎知識を、カンタンにまとめておきます。
強みとは、「相手が求めるもの」とマッチして初めて意味があります。
たとえば、160km/hの豪速球が投げられるとしても、それは鉄道会社が社員に求めるスキルとは合致しないので、強みとしてアピールしても無意味です。
では、鉄道会社が社員に求めるものとは何か?
それはやはり、「安全を守れること」です。
現役鉄道マンである私が考える「安全を守れる人」とは、以下の通りです。
今回の記事では、「他山の石を活用できる人」の説明をします。
「事故る → 対策を立てる → 安全向上」のループ
鉄道の安全は、「事故と対策の繰り返し」で向上してきました。
「事故 → 対策 → 安全向上」というループですね。
そして、事故は一つの鉄道会社だけではなく、いろいろな鉄道会社で起きます。
言い換えると、「ウチの鉄道で事故が起きた」ということはあまりなくて、「他の鉄道会社で事故が起きた」と聞くことが多いわけです。
その際、他会社の事故を「他人事」ではなく「自分事」として捉えること。
いわゆる他山の石が、鉄道の安全を向上させるためのカギです。
というのも、一つの会社で発生する事故数は限られています。
自社という“中”だけに目を向けていたのでは、「事故 → 対策 → 安全向上」のループがなかなか進みません。
他社の事例という“外”にも目を向けることで、ループを増やすことができます。
他社事例を見て「ウチでも同じことは起きる?」と考える
……と書くと難しく感じるかもしれませんが、実際は簡単な話。
具体的には、「他の会社で○○の事故が起きたけど、ウチでも同じような事故が起きる可能性はないか?」と考えればOKです。
たとえば、2020(令和2)年6月12日、京成電鉄の青砥駅で、台車の亀裂による(と思われる)脱線事故がありましたよね。
台車の亀裂は、京成電鉄だけではなく、どの会社でも起こりえます。
ですから、「ウチの会社でも同じことはありえるな。それなら、全車両を緊急点検しようか」と考える。
そこまではやらないにしても、「現行の検査体制に問題はないか?」を確認する。
これが他社の事故事例を活用する正しい姿勢です。
これは「会社レベル」に限った話ではなく、「個人レベル」でも同じこと。
「同僚がこういうミスをしたけど、自分にも同じことは起きるかも。再発防止のためには何をすればよいか?」という具合です。
こういう思考・行動のできる人が、鉄道の安全を守れる人といえます。
学生でも「他山の石」の思考・行動はできる
以上の話を、学生さんの立場に置き換えてみましょう。
たとえば、学業やサークル・バイトの場面で、
「この前のゼミ、○○さんの発表はこういう点が突っ込まれていたな。自分の発表で想定される質問は何だろう」
「他のサークルで不祥事があった。ウチのサークルは大丈夫かな? 対策を立てた方がいいかな」
「今日、バイト先で○○のトラブルがあった。自分ならこういう対策をする」
こんな感じです。
このように、学業やサークル・バイトなどで、他山の石を活用する思考・行動ができていれば、鉄道マンになっても同じように思考・行動してくれると予想できます。
つまり「再現性」が期待でき、鉄道の安全を守れる人になってくれる可能性が高い、というわけです。
これは、強みとしてアピール材料にじゅうぶんなりうると思います。
「再現性」がないことはアピールしても無意味
「他山の石の活用」からは少し話が逸れますが、この「再現性」というキーワードも大切なので、説明しておきましょう。
会社側は、エントリーシートや面接で、過去(学生時代)の経験をいろいろ聞いてきますが、なぜそんなことをするのでしょうか?
あれは、再現性を探っているのです。
逆にいうと、再現性がないことは、いくらアピールしても無意味というわけ。
たとえば、「私は学生将棋の大会で優勝しました!」という結果だけをアピールしてもダメです。
なぜかというと、鉄道会社の業務に将棋大会などは存在しないため、再現性が期待できないからです。
もちろん、話の「とっかかり」として結果・実績をアピールするのはよいのですが、そこで話が終わってはダメ。
「優勝した」という結果ではなく、そこまでの過程を語ることが大事です。
将棋の話に置き換えると、
こういう過程は再現性があります。
つまり、将棋から鉄道会社に舞台が変わっても、同じように思考・行動してくれることが期待できるわけ。
そういうところが、選考での評価対象(のはず)なのですね。
最後は「他山の石の活用」という話からは逸れてしまいましたが、再現性についても、自己アピールのためには大切なことなので触れました。
学生のみなさん、何かの参考になれば幸いです。
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