「駅の改札内」で「麺類を食す」場合、以下のパターンがほとんどではないでしょうか。
- 立ち食い
- そば or うどん
もちろん、店ごとにメニューや汁の違いはあります。しかし、どこの店も「改札内で麺類を食す = 立ち食いそば or うどん」という枠組みに収まっていることがほとんど。駅の改札内において、たとえば↓の条件を満たす店を見つけるのは、なかなか難しいはずです。
- 座り食い(?)
- ラーメン
ところが……あった。しかも、日本の大動脈たる東海道新幹線の駅で。それが、愛知県は豊橋駅の改札内にある『豊来軒』です。
運営会社は名古屋駅のきしめん『住よし』と同じ
珍しい形式の駅ナカラーメン屋『豊来軒』。どこの会社が経営してるんだ? 気になって(食後に)調べたら、ジャパン・トラベル・サーヴィスという会社でした。……と言われても、わからない人が多いと思います。
では、名古屋駅の新幹線ホーム等にある『住よし』という立ち食いきしめん店。これは知っている人がグッと増えるはずですが、この『住よし』を運営しているのがジャパン・トラベル・サーヴィス。つまり、同じ会社が『住よし』と『豊来軒』を運営しているわけ。
その他、関東圏で立ち食いそば『爽亭』を運営しているのも、この会社です。エリア広いな~。
「鶏白湯ラーメン」を注文 多少時間がかかるので注意
券売機で食券を買います。つけ麺や醤油ラーメンもありましたが、看板メニューの「鶏白湯ラーメン」を選択。お値段780円也(2023年現在)。ちなみに、酒やつまみ類も提供されているので、軽く一杯やっていく使い方も可能です。
朝7時から営業しているようですが、朝から酒の提供をしてくれるのだろうか? 気になる……。
カウンター席があり、そして冒頭でも述べたように椅子に座れます。ようは市中のラーメン屋と同じ。水はセルフサービスではなく、店側が出してくれます。
立ち食いそばみたいに食券を渡して1~2分で到着! とはいきません。4分程度は待ったと思います。このあたりも市中のラーメン屋と同じです。
立ち食いそばの感覚で「混んでるけど回転が速いだろう」「すぐに食べ終えられるだろう」と思っていると、列車に乗り遅れる憂き目を見るかもしれないので注意。時間が押しているときには、入らない方が無難です。
比較的軽い感じの飲みやすい鶏白湯
待つこと数分、ラーメン到着です。
鶏チャーシュー2枚、メンマ、もやし、白ネギ、海苔。搭載している具はオーソドックスで、特筆すべき点はないかと。強いて言うなら、チャーシューに豚ではなく、鶏を使っていることくらいでしょうか。では、いただきます。
おお、比較的軽い感じか?
前述しましたが、この店は朝7時から営業しています。その時間からラーメンが食べられるわけですが、朝っぱらからコッテリドロドロ濃厚スープは勘弁、と思うのが普通でしょう。そのへんの事情で軽い感じにしてあるのかもしれません。
では薄っぺらくて物足りないかというと、そんなことはなく、じゅうぶん美味しいです。それにスープの表面には脂層(鶏油)があるので、コッテリ要素もあります。軽さの中にも重厚さが感じられ、そのあたりのバランスが上手く取れていると思いました。
プハーごちそうさまでした。駅ナカで食べるラーメンということで、もっとチープなものを想像していましたが、これは良い意味で期待を裏切られました。
強いて不満を挙げるとすれば、量でしょうか。「食事」として考えると、特に男性では、この一杯だけでは少し物足りないかもしれません。麺を大盛りにする、またはサイドメニューかセットを頼んだ方がいいと思います。
【お料理豆知識】鶏白湯とは何ぞや? 乳化とは?
最後に、本題から逸れますが、お料理豆知識を紹介。そもそもみなさんは「鶏白湯とは何ぞや?」と聞かれたら答えられますか?
鶏白湯とは、早い話、豚骨スープの鶏バージョンです。
豚骨スープはご存知でしょう。豚骨を強火で長時間煮ることで、水と脂を乳化させ、白濁した豚骨スープができあがる。この手法を鶏骨(?)ならぬ鶏ガラで行い作ったものが、鶏白湯です。
なお、乳化とは、本来は混ざらない液体同士が一つに混ざり合うこと。「乳化剤」を使うと、本来は分離してしまう液体──水と油が混ざるんですね。豚骨や鶏ガラに含まれるコラーゲンが熱で溶けてゼラチンが抽出され、これが乳化剤の役割を果たして白濁スープができます。
ちなみに、その逆もあって、乳化している液体──たとえば牛乳は水分と乳脂肪分が混ざっていますが、レモン汁を入れると分離します。このとき、分離した脂肪の塊はチーズとして食せます。
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