2021年1月の豪雪では、JR貨物が運行する貨物列車も甚大な影響を受けました。新潟県で大雪が降ったため、日本海側を通る貨物列車はほとんど全滅。また、青森県の津軽線も不通になったため、本州と北海道の鉄道物流が滞りました。
JR貨物のホームページでは、現在の運行状況を閲覧できるようになっています。具体的には、「どの列車が何分遅れているか?」や「どの列車は運休」といった情報が見られます。今回の大雪に伴う運休計画も発表されていました。
さて、JR貨物が発表する運休計画には、「24時間手配」や「48時間手配」という言葉がよく出てきます。この○時間手配という言葉、おわかりでしょうか?
今回の記事では、この説明をします。
貨物列車は長時間の足止めで大きく遅延することが珍しくない
まずは前提の話から。
貨物列車というのは、自然災害などの大規模な障害が発生すると、途中で長時間足止めを喰らうことが珍しくありません。
長時間の足止めが発生した場合、旅客列車ならば、「この列車は当駅で運転打ち切りです。お客様は降りて、あとは自力で目的地まで行ってください」で済みます。が、自力では動けない荷物を載せている貨物列車は、「ここで降りて、あとは自分で目的地まで行って」なんて真似は不可能ですね。
そのため、貨物列車は基本的に、運転が再開できるまでひたすら待つしかありません。10時間とか大きく遅れるのは日常茶飯事です。
途中駅から1日後の列車として運転する「24時間手配」
さて、ここからが本題。
列車の運転時刻は毎日同じですから、始発駅から24時間ごとに同じ(=列車番号が同一の)貨物列車が発車していきます。同じ列車が、24時間間隔でボンボンと撃ち出されるイメージです。
ところが、あまりにも長時間足止めを喰らうと、後ろの(=24時間後に発車した)貨物列車に追いつかれてしまいますよね。
このように、道中で遅延が大きくなった場合に行われるのが○時間手配です。これは言葉で説明するより、図を見てもらった方が早いでしょう。
↑図は、「24時間手配」を表しています。遅延が大きくなった貨物列車は、途中駅から1日後(=24時間後)の列車として運転する。1月15日分の列車は後半部分が運休、1月16日分の列車は前半部分が運休。
これが○時間手配と呼ばれるものです。なお、2日ずらすのであれば48時間手配、3日ずらしは72時間手配……という具合になります。
今回の大雪では192時間手配!も発生している
この「○時間手配」は特に珍しいものではなく、台風時などによくあります。
が、普通は24時間、あってもせいぜい48時間まで。しかし、今回の大雪では100時間を超える手配が続出しています。これはかなりの異常事態です。
最も大きい列車では、なんと192時間手配! これはつまり、192時間 = 8日の足止めを喰らったことを意味します。192時間手配というのは、ちょっと近年では記憶にないような……。
こうした事象からも、今回の大雪がいかにすさまじいものだったかが窺えます。