今回も、就職活動の記事です。
「就職活動で自分の強みをどうアピールするか?」に悩んでいる鉄道志望の学生さん、そんな人向けの記事第4弾です。
鉄道会社の「厳しい面」についても書きましたので、参考にしていただけたらと思います。
- 鉄道会社に「強み」をアピールするための基礎知識
- 安全を求められる鉄道の現場は厳しい
- 雑な指導をすると連帯責任を問われることも
- 打たれ強さは「平常心」につながる
- 強みをアピールするための文例
- 余談:指令員に必要なのは「罵声に耐える力」?
鉄道会社に「強み」をアピールするための基礎知識
まずは、鉄道会社に強みをアピールするための基礎知識を、カンタンにまとめておきます。
強みとは、「相手が求めるもの」とマッチして初めて意味があります。
たとえば、160km/hの豪速球が投げられるとしても、それは鉄道会社が社員に求めるスキルとは合致しないので、強みとしてアピールしても無意味です。
では、鉄道会社が社員に求めるものとは何か?
それはやはり、「安全を守れること」です。
現役鉄道マンである私が考える「安全を守れる人」とは、以下の通りです。
今回の記事では、「厳しい指導にも負けない打たれ強い人」の説明をします。
安全を求められる鉄道の現場は厳しい
鉄道会社の社員教育は厳しいです。
これは別に鉄道会社がブラックというわけではなく、鉄道の安全という大切なものを守らなければいけない以上、社員教育は厳しくせざるをえない、という話です。
読者のみなさんだって、もし自分が利用する鉄道会社で「ああーOKOK、その程度でいいんじゃね?」みたいなユルユルの社員教育がされていたら嫌ですよね。
そんな鉄道には乗りたくないはずです。
大手の鉄道会社に入れば、新入社員研修・車掌養成・運転士養成といった節目節目で教習所に入ります。
教習所では、体育会系的なビシッとした規律で日々を過ごします。
至らないところがあると、教習所の講師は容赦なく指摘してきます。
また、研修の成績が合格ラインに満たなければ、容赦なく補習や追試が行われ、それでもダメなら失格の烙印を押されて終了。
「コイツはダメだけど、まあこのくらいで勘弁してやるか」みたいな温情は一切ありません。
「ちゃんとできるまでやれ! それでもダメなら辞めちまえ」なのです。
そのあたりは、教習所だけではなく現場でも同じです。
重ねて言いますが、これは鉄道会社がブラックという話ではありません。
鉄道の安全を守るため、社員教育は厳しくせざるをえないのです。
雑な指導をすると連帯責任を問われることも
「えー、ホントにそんな厳しいの? 実はなあなあで済ませている部分がけっこうあるんじゃ?」
ないですね。
というのも、指導担当者が必要事項を教えなかったとか、「コイツできてないけど、まあいいか」と下手な温情で見逃すと、あとで指導担当者も連帯責任を追求されるかもしれないからです。
鉄道の仕事は、人間がやっていることなので、当然ですがミスが発生します。
その場合、ミスした本人がいろいろ追及されるのはもちろんですが、指導担当者なり上司なりに矛先が向いて、「これはちゃんと教えたの?」と問われることもあります。
早い話、もし雑な指導をした場合、指導した側が責任を問われることもありえるのです。
指導する側だって我が身が大切ですから、自分の立場を守るためにも、雑な(というか甘い)指導はしません。
打たれ強さは「平常心」につながる
というわけで、少しのことで心がポッキーンと折れてしまうような人は、鉄道会社で生き残るのは難しい。
逆に、厳しい指導(多少の理不尽も含む)をされた経験がある、体育会系の人間なんかは、めげずにやっていけるでしょう。
さて、この「打たれ強さ」が鉄道の安全にどう結び付くのか?
打たれ強さとは、少し視点を変えれば、「平常心を保てること」です。
この平常心が、鉄道の安全を守るために必要なのです。
精神的ダメージを受けるような出来事があっても、それを抑え込んで、目の前の仕事を淡々とこなす。
ちょっと厳しくされたり叱られたくらいで動揺し、目の前の作業に集中できないようでは困ります。
それは安全を脅かすことにつながるからです。
ですから、厳しい指導にも負けない打たれ強い人は、平常心を保てるという意味で、安全を守るための資質があると思います。
強みをアピールするための文例
「自分は厳しさにもへこたれない」という学生さんは、次のようにアピールしてみてはどうでしょうか。
そうした厳しい指導や教育にもへこたれない打たれ強さ、言い換えれば「平常心を保てること」が、安全を守るために必要だと考えます。
私は学生時代、○○をしていましたが、そこでの指導は厳しいものでした。
しかしそのおかげで、少々のことではへこたれない打たれ強さが身に付きました。
この経験を生かして、鉄道の安全に貢献したいと思います。
ただし、このアピールは諸刃の剣な面もあります。
私が面接官だったら、「よーし、そこまで言うなら圧迫面接の一つでも喰らわせてやろうか^^」と意地悪な気持ちになりますね。
それで学生がヘコんだら、「なんだこいつ、全然打たれ強くないじゃん。ウソ言ってんなよ」と(笑)
ですから、そのあたりは覚悟したうえでアピールするべきでしょう。
余談:指令員に必要なのは「罵声に耐える力」?
ちょっと長くなりますが、余談を一つ。
「打たれ強い」とは少し違いますが、「罵声に耐える力」が必要なこともあります。
突然ですが、私は今、「指令」という仕事をしています。
列車の運行管理を行う仕事……と説明してもイメージ湧かないですよね。
飛行機でいうところの管制官みたいな職種だと思ってくれればいいです。
会社の教習所で、指令員になるための養成研修が行われ、それに参加したのですが、そのときの笑えない話を一つ。
その研修で、現役の指令員が講師役としてやってきたことがありました。
質疑応答タイムで、研修生の一人が「指令員に必要な能力はなんですか?」と質問。
これに対する驚きの回答がこちら。
「そうだなぁ……罵声に耐える力かな」
……は、はい?
ちょっとなに言ってるのかわからない
(^^;)
講師いわく、「ダイヤが乱れると指令室は戦場になって、罵声が普通に飛び交うからね。そういうのを『はいはい』みたいに軽く受け流せる心の持ち主じゃないと、病んじゃうかも」
さて、後日、指令員になった私が実際に喰らった罵声の一例が↓こちら。
「バカヤロー! お前のせいで順序が狂っちまったじゃねーか!」
「こっちが先! んなモンは後回しでいいの!」
「これはこうすれば済むじゃねーか! 何やってんだお前」
講師が言ってたことは本当だった(笑)
一応断っておくと、指令って、別に気性が荒い人の集まりではないです。
じゃあなんでそんな罵声が飛び交うかというと、ダイヤが乱れて大忙しになると、みんな気が立ってくるからです。
ダイヤがぐちゃぐちゃになると、指令室ってマジで戦場になります。
台風や大雪のような災害時だと、徹夜も珍しくありません。
終わりの見えない戦いに気力と体力が削がれ、みんなのイライラは頂点に達する(笑)
そうなると、ちょっとしたことでもカチンときて「バカヤロー!」。
研修で教わった通り、「はいはいスンマセンね」くらいで流していかないと、とてもやっていけないです。
かくいう私も、ダイヤがぐちゃぐちゃで大忙しのときに他の部署と揉めて、
「ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ!!」ガチャン
とブチ切れて電話を叩きつけた経験がありますが。
でもアレですよね。
これって、ぜんぜん平常心を保ててない(笑)
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