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鉄道会社の「指令業務」を紹介 (2)技術系の指令

この記事は、『鉄道会社の「指令業務」を紹介 (1)運転・営業系の指令』の続きです。

前回の記事では、鉄道会社の指令という仕事について説明しました。具体的には、「一口に指令と言ってもいろいろな仕事がある」と書き、列車担当・運用担当・旅客担当・情報担当という4つの指令業務を紹介しました。

これら「運転・営業系の指令」は、元駅員や元乗務員が登用されます。対して、今回の記事で紹介する「技術系の指令」は、駅員・乗務員出身者ではなく、技術職種で入社した社員が務めます。

技術系の指令は、以下の3つに分かれているケースが一般的かと思います。

  • 電力担当
  • 信号通信担当
  • 施設担当

電力指令 電力の安定供給に努める

鉄道は、電力の供給が途切れたらアウトです。電気で走る電車はもちろん、駅構内には券売機や自動改札機、エレベーターなど電気で動く設備が盛りだくさん。

これらに必要な電力を途絶えさせないようにするのが、電力担当の仕事です。電力指令と呼ぶケースが多いです。

電力供給の管理だけではなく、工事の管理もします。架線の張替工事なんかがイメージしやすいですかね。また、夜間には「き電停止」といって架線への電力供給をストップしてから行う工事も少なくありませんが、架線への通電オン・オフを行うのも電力指令の役割です。

ずいぶん昔ですが、「間違い一つで人が死にかねない仕事」と聞かされたのが印象に残っています。たとえば、まだ工事が終わっていないのに、何かの勘違いで架線への電力供給を始めてしまったら……。感電事故が起きて大変なことになります。

列車の運転だと、誤って赤信号を見落としてもATSという保安装置が列車を止めてくれますが、電力の業務には、こうした保安装置がありません。人間の注意力頼みの怖い仕事ですね。

信号通信指令 電波関係や情報・通信回線を管理する

次に紹介するのは、信号通信担当の指令。信号通信という言葉は聞き慣れないでしょうが、鉄道会社における以下の設備を保守管理するのが仕事です。

  • 信号機
  • 軌道回路(→軌道回路とは何ぞや? はこちらの記事
  • 無線機
  • 踏切
  • ATSやATCなどの保安装置
  • CTCやPRCなどの運行管理システム

知らない言葉も出てきたでしょうが、説明は省きます。電波とか情報・通信回線とか、そういう関係の仕事とイメージすればよいでしょう。なお、信号通信と呼ぶのはメンドくさいので、信通(しんつう)と略すケースが多いです。

信号機故障で運転見合わせ、なんて事態に巻き込まれた経験のある人も多いでしょうが、ああいうときに復旧手配の指揮を執るのがこの信通指令です。

また、踏切の非常ボタンが押されたり、障害物検知センサーが作動したりしたときは、信通指令の監視モニターにも情報が出ます。私のような列車担当の指令員は、現場の乗務員から「いま踏切でうんぬん」と無線を受け、同時に信通指令からは「どこの踏切で何が作動した」と教えてもらうわけです。

施設指令 線路・トンネル・橋梁等を保守管理

最後は施設担当の指令。線路やトンネル、橋梁といった施設の保守管理をするのが業務です。工事の際には、他の指令と連携・調整して施工まで持っていきます。

自然災害が起きると、かなりバタバタしますね。大雨や地震で運転見合わせになった後は、係員が徒歩で巡回して線路点検しますが、これの采配を行うからです。私のような列車担当の指令とも、「どこからどこまでは点検終わった!」「この列車に点検の係員を乗せたいんだけど」のように、連絡や要請で頻繁にやり取りします。

鉄道会社の指令業務 チーム一丸となって円滑な運行を確保している

  • 電力担当
  • 信号通信担当
  • 施設担当

以上が「技術系の指令」です。で、前回紹介した「運転・営業系の指令」が、

  • 列車担当
  • 運用担当
  • 旅客担当
  • 情報担当

こうやって並べてみると、なかなか壮観ですね。これらの各担当指令員が連携し、チーム一丸となって鉄道の円滑な運行を確保しています。たとえば、ゲリラ豪雨+雷が襲来してダイヤが乱れたケースを考えましょう。

遅れを収束させるために、列車担当が運転整理を行う。それに追随して、運用担当が車両や乗務員のやりくりを手配する。旅客担当は振替輸送の手配をしたり、駅や乗務員区所へ情報をバラまいたりする。情報担当は、運転状況を見ながらホームページやTwitterなどを随時更新する。

電力担当や信通担当は、雷を喰らっても被害が最小限で済むように備える。施設担当は、線路点検が必要な場合に備えて係員を手配する。

……とまあ、こんなイメージです。各々が独立して勝手に動くわけではなく、情報をやり取りし、必要に応じて要請し合う「横の連携」が大事になってきます。

駅員や乗務員と違って、利用者からは目に見えない指令という仕事ですが、列車の正常運行をキープするために、こんな感じで働いています。

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