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「仙台名物牛たん弁当」 加熱式と七味&漬物のおかげで牛タンが美味しい

Q.仙台名物といえば?
A.牛タン

仙台駅では、牛タンを使った弁当が何種類も売られています。構内の駅弁屋「祭」で売られているのはもちろん、牛タン弁当に特化した店も存在するくらいです。

弁当ごとに、牛タンの味付けや肉の厚みが違います。その中から自分の好みに合った“アタリ”を見つけるのは難しいかもしれません。

しかし、王道──これを買っておけば間違いないと言えるものは存在します。それが今回紹介する「仙台名物牛たん弁当」です。

細かいですが、パッケージには「仙台」ではなく「仙臺」と書かれていますね。ただ、この駅弁を販売する『こばやし』ホームページでは「仙台」の表記です。

厚切り・塩味・加熱式が特徴の「仙台名物牛たん弁当」

「仙台名物牛たん弁当」、お値段は税込1,780円(2023年現在)。牛タン駅弁としては、高めの部類に入ると思います。特徴は以下の三点です。

  • タンは厚切りタイプ
  • 味付けは塩ダレ
  • 加熱式

牛タンといえば、ゴムみたいに硬いようでいてキッチリ噛み切れる食感が魅力。それを堪能するには、ペラいよりも厚い方が良いと思います。

味付けは塩ダレ。食感だけでなく、独特な香りも牛タンの特徴。ストレートに塩系統で食すのが個人的には好きです。

そして、一部の駅弁でみられる、ヒモを引き抜くと加熱されてアツアツを食べられるタイプです。弁当容器の底に水と生石灰が入っていて、これらによる化学反応で発熱します。容器の高さの半分以上は、水と生石灰のスペースです。

発熱の仕組みを知りたい方は↓をご覧ください。

この加熱式弁当は、飛行機内への持ち込み禁止品に指定されています。購入時に店員さんから口頭で伝えられますし、パッケージにも表記があります。仙台空港から飛行機に乗る人、もし買っちゃったら搭乗手続き前に食べてください。

ヒモを抜いたら一瞬で熱くなるので注意!

まずはヒモを引き抜いて温めましょう。5~6分待つそうです。実は私、この手の加熱式弁当を買うのは初めて。使い捨てカイロみたいにジワジワ温か

 あっちぃ!!

一瞬で高温になるのな。化学の知識が足りないからこうなる。厚紙のパッケージ包装からの上でも、ハッキリした熱さを感じるくらい熱いです。取扱い時は注意してください。

容器の底では、ボコボコ煮えている感触。シュウゥゥゥと音を出しながら、うっすら水蒸気も出てきました。アポトキシン4869を飲まされた工藤新一が、身体からシュウゥゥゥと白い煙を出しながら「身体が熱い!! 骨が溶けてるみてーだ」というシーンを思い出しました。

「間違いない美味さ」を感じさせる牛タン

数分後、加熱が沈黙した感じなので、包装を剥がしてフタを開けます。

ホカホカの湯気とともに、牛タンの香りが広がりました。食欲と期待がそそられますね。冷たい状態では香りがしぼんでいるので、こうはいかない。では、いただきます。

うん、これは間違いない!

厚切り・塩味・ホカホカ。これで不味いはずがない。もちろん弁当というハンデはあるので、店で食べる牛タンには敵いませんが、じゅうぶん美味いです。

こういう厚切りタイプは、冷たいままではアカンだろうなぁ。加熱式グッジョブです。

肉を噛みしめたときの香りと旨味が、メシを頬張る強力な推進力に変化するっ。牛タンといえば麦飯ですが、この弁当のメシにも、麦が入っています。

七味と漬物が効果的なアクセントになり肉を引き立てる

そして、添えられている小袋の七味と、きゅうり・人参・大根の漬物。彼らが肉を上手く引き立てていますね。

この弁当は、米 + 肉だけで構成された「シンプル・直球系」の内容。悪く言えば単調になりがちなので、最後までいかに飽きさせないかが勝負ですが、七味の刺激と、漬物のポリポリ感がアクセントに効果抜群。

大きな変化を与えてくれるわけではないものの、七味と漬物のおかげで、牛タンを最後の一切れまで美味しく食べられます。

大げさかもしれませんが、もし七味と漬物が入っていなかったら、この弁当の価値は半減すると思いますね。

ごちそうさまでした。先ほど「牛タン駅弁としては高めの部類」と書きましたが、値段に見合ったコスパはじゅうぶん発揮してくれます。どの牛タン弁当を買うか迷ったときは、これを買えば後悔する可能性は低いでしょう。

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「八ヶ岳高原たまごサンド」 美味いが単調なので一切れ食べれば十分

「たまごサンド」というと、どんな作り方をしますか?

ゆで卵を潰してマヨネーズ等と和え、パンに挟む──ほとんどの人が、そうやって作るのではないでしょうか。実際、コンビニ等のたまごサンドも、そうしたものばかりですし。

しかし、山梨県の小淵沢駅等で販売されている「八ヶ岳高原たまごサンド」は違います。マヨたまではなく、分厚い玉子焼きを挟んでいるのです。写真を見てもらった方が早いでしょう。

この豪快なサンドイッチを食レポするのが、今回の記事です。

「小淵沢の名物は駅弁です」を支える老舗業者『丸政』

「八ヶ岳高原たまごサンド」を販売するのは、山梨県の小淵沢を拠点とする『丸政』。「小淵沢の名物は駅弁です」と言われるほどなのですが、それを担う老舗駅弁業者です。ホームページを眺めると、多彩な駅弁が並んでおり、どれも美味しそう。食べに行きたくなること必至。

小淵沢駅のホームにて

ゲーム『桃太郎電鉄』にも、小淵沢駅には「駅弁屋」の物件が設定されています。それくらい、小淵沢 = 駅弁なのですね。

『桃太郎電鉄16 北海道大移動の巻!』より

輪郭がしっかりしており甘めの厚焼き玉子 その存在感が突き抜ける

その『丸政』が製造する「八ヶ岳高原たまごサンド」は、直球勝負のサンドイッチ。こだわりの厚焼き玉子をパンで挟んだだけという、超シンプルな構成です。お値段は、税込み800円(2023年現在)。

たまごサンドは、同じものが三切れ入っています。玉子焼きの厚みは、成人男性である私の親指の太さくらいありました。こういうサンドイッチは見たことがなく、期待が膨らみますね。それではいただきましょう。

おお美味い
ずっしり来る

見た目だけでなく、実際に頬張ってみても、厚焼き玉子の存在感が突き抜けてきました。「俺はサンドイッチではなく厚焼き玉子を食べているぅぅぅ!!」と思わされます。

ボリューム感もなかなか。

玉子は、だし巻き系統ではないです。フワフワや半熟でもありません。しっかり輪郭があって、硬さや重量感がある、ザ・玉子焼きという印象。しかし、火が通りすぎてパサついて……ということは全然ありません。しっとり感が残っており、甘めの厚焼き玉子。

パンが薄いから、余計に厚焼き玉子が目立ちますね。もはやパンは、玉子を手で触らずに済ませるための、包装的な役割なのかもしれません(笑)

パンに厚焼き玉子を挟んだだけの単純な構成ですが、これを家で作ろうと思ったら難しいでしょう。製造者のワザが光るユニークな駅弁です。

一切れ食べれば満足 味に変化がないので二切れ目からは飽きる

──ところが、一切れ目を平らげ、二切れ目に突入したとき、私は「あれっ?」と思った。

最初ほど美味いと感じない……

うーん、これはアレだ。美味しいけど、味が単調なせいで飽きてくるやつだ(^^;)

このたまごサンド、パン + 厚焼き玉子だけで構成したシンプルの極みとも言える駅弁です。しかし、三切れとも同じもので味に変化がない。アクセントになるような付け合わせも入っていない。

もちろん、そのシンプルさで勝負するのが、この駅弁のコンセプトです。しかし、こうシンプル一辺倒だけで攻められては、口飽きするのが人間というもの。

そして前述のように、甘い系の味なので、そういう観点でも一切れ食べれば満足してしまうことに気付きました。ようするに、たくさん食べて美味しいものではない。

三切れ目は、残念ながら「腹に詰め込む作業」になってしまいました。こうなると、分厚さも逆に仇になっています。

誤解のないよう言っておきますが、味は良いですよ。混じりっ気なしの、直球の美味しさであることは間違いない。ただ、いくら160㎞/hのストレートでも、ド真ん中に3球続ければ、さすがに目が慣れて打たれるよね、という話。変化という要素が欲しいです。

2人以上でのシェアや他のサンドイッチ等と合わせるならオススメ

ここで強く主張しておきたい。「単体としての美味しさ」と「全体としての美味しさ」は別である、と。

たとえば寿司屋に行ったとき、タイ・スズキ・ヒラメ……のように白身魚ばかり食べ続けて、「あ~美味しかった」と感じる人は、あまりいないはずです。

もちろん「単体として」は、どの白身魚も美味しい。しかし、マグロやカツオなど味の濃い赤身、エビやイカ、光り物なども食して変化をつけることで、「全体として」満足感を作り上げるのが寿司ではないでしょうか。

食事の組み立て方・構成。そう表現してもいいです。大袈裟ですが(笑) そのあたり、このたまごサンド単独で食べた場合は微妙かなと……。

というわけで、「一人で・このたまごサンドだけを食べる」というシチュエーションは避けた方がいいと思いますね。逆に言うと、次のような場面ではオススメできます。

  • 2人以上でシェアする
  • 他のパンやサンドイッチと一緒に食べる(=たまごサンド一辺倒にならない)

食べる側(客側)が少し気を付けないといけない商品だと思います。

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名鉄金山駅『かどや』 麺類以外に酒やつまみも豊富な「ホーム上の飲み屋」

ホーム上の御食事処といえば、その大半が、立ち食いそば・うどんを提供する「麺処」です。そういう店では、プラスアルファとしてアルコール類を提供していることが少なくありません。

ようは立ち飲み屋として使えるわけです。が、選べる酒はビールとレモン酎ハイくらいで、おつまみも数種類あれば良い方でしょう。

ところが、本格的に酒が飲める方向にガッツリ寄せている店もあります。それが、愛知県は金山駅(名古屋鉄道)のホーム上にある『かどや』です。

ちょうど名鉄の最新車両が来たので一緒に撮影

一通り揃った酒に多種なおつまみ お手頃感も魅力的

『かどや』は名古屋らしく、きしめんを軸に据えた麺処です。しかし、この店が持つもう一つの顔は、まさしくホーム上の飲み屋。ビールはもちろん、日本酒・酎ハイ・芋焼酎・麦焼酎・ハイボールと一通り揃っています。

酒だけではなく、おつまみも充実。市中の居酒屋よろしく、壁にメニューがぺたぺた貼られています。

  • 唐揚げ
  • いわしの竜田揚げ
  • 野菜コロッケ
  • 牛肉コロッケ
  • ハムかつ
  • チキンカツ
  • 串カツ
  • アジフライ
  • イカの天ぷら
  • 焼き鳥
  • 枝豆
  • 冷やっこ

これらのメニューが、100~200円台の価格帯で食べられます。気取らない感じのメニュー、お手頃なお値段。ホームの立ち飲み屋という要素と相まって、庶民的な雰囲気バリバリです。

メニューは他にもありました。カウンター上には、お惣菜の小鉢がラップを掛けられて、たくさん置かれています。さらに、おでんまで。コンビニ同様、什器に入った状態で、お客さんから指名されるのを待っています。調理台には、煮物が入っていると思しき鍋も複数。ホーム上の店でこれはすごいな。

私が入店したのは真っ昼間にもかかわらず、飲んでいる人が複数。ようし、私もその輪の中に加わり

ませんでした

普通に昼メシ食べに入っただけなので……。いやまあ、一杯くらい呑んでもよかったかもしれませんが、たぶん一杯では終わらない(^^;) 酔っ払ってこの後の行程に支障が出たらアレですし。

つゆと麺がマッチしたきしめんは美味い 満足感もじゅうぶん

私が注文したのは、きしめん + ミニ丼 + 小鉢のランチセット700円。麺 + 丼のセットはよくありますが、これに小鉢が付くのが嬉しい。券売機はなく、カウンターで店員さんに口頭で注文する仕組みです。

注文を受けた店員さんが調理に取りかかります。あれ? まだカネを払わなくていいのか?

まず、きしめんと小鉢のポテトサラダ、さらに漬物が到着。小鉢はたぶん日替わりでしょう。きしめんはオーソドックスなタイプで、ねぎ・かつお節・油揚げ・かまぼこがトッピングされています。

うん、美味いです。濃厚なつゆと麺がよくマッチしています。上を覆った鰹節の香りで、するすると食が進む。きしめんといえば名古屋駅ホームの店が有名ですが、この店の味も負けてないと思います。油揚げがとても甘く味付けされており、途中で食べると、いい感じのアクセントになってくれて、単調さを回避できます。

きしめんを半分くらい食べ進めたところで、ミニ味噌カツ丼が登場です。この、メニューが全部揃ったタイミングで代金を請求されました。

味噌カツを米と一緒に口へ放り込みます。あぁ~名古屋の味噌ダレだ。ミニ丼なので量は少ないですが、ポテトサラダも付いているので、トータルでの満足感はじゅうぶんです。

「ごちそうさまでした」と言ったら、「ありがとうございました! またお願いします! お気をつけて!」とオバチャンが元気よく返してくれました。退店時に気持ち良い接客をしてもらえると、好感度がグッと上がりますね。

酒をかっくらうオジサンたちを羨ましそうに眺めながら、私は店を出ました。昼間から駅ホームで飲んで酔っ払う。背徳感ありそうな行為ですが、だからこそ一度はやってみたいなぁ。

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修善寺駅「武士のあじ寿司」 すし飯とアジの一体感が美味しい

みなさんは何の魚の刺身が好きですか?

マグロやサーモンといった答えが多そうですが、私が一番好きなのはアジ(鯵)ですね。私は魚が捌けるので、スーパー等の鮮魚コーナーで「刺身用アジ」が手頃な値段で売られていた暁には、即買いです。

そんなアジ好きの私にとって、是非とも食したいと前々から思っていた駅弁があります。↓こちらのブログで紹介されていた「武士のあじ寿司」です。

静岡県を走る伊豆箱根鉄道・駿豆線。その終点の修善寺駅で販売されている駅弁「武士のあじ寿司」。先日、ついに念願かなって食べてきたので、その食レポをするのが今回の記事です。

「武士のあじ寿司」基本情報

伊豆箱根鉄道・修善寺駅の構内に店を構える『舞寿し』には、魅力的な駅弁が揃っています。椎茸をメインに据えた弁当、軍鶏を使った弁当……。どれも美味しそう(→公式ホームページ)。

そんな中で、ひときわ輝く看板商品が「武士のあじ寿司」です。なお、武士は「たけし」と読みます。

すし飯の上に、地元で獲れたアジが敷き詰められています。そこに針ショウガ、ガリ、ワサビ、レモンが添えられた一品です。お値段1,500円也(税込)。

写真ではデカそうな弁当に見えるかもしれませんが、実際のサイズはかなり小ぶりで、これだけで腹を満たすのは無理。にもかかわらず1,500円は高いと感じるかもしれませんが、アジを贅沢に使っているので、妥当だと思います。

すし飯とアジを一緒にパクッ 「寿司として」食すのが美味い

さあ、期待度MAXの駅弁を食すときが、いよいよやってきました。上から醤油を回しかけ、まずはアジだけを口に運びます。

……う~ん?

なんだろう、旨味が薄い気がする。醤油が少なかったか?

魚の旨味はイノシン酸が基本です。イノシン酸は、グルタミン酸──醤油に多く含まれる──と一緒になると、相乗効果で旨味が数倍になります。刺身を醤油に付けて食べると美味しいのは、そういう理由です。

つまり、醤油が足りない刺身は旨さが足りないわけ。それを思い出した私は、もうちょい醤油を付けてもう一切れパクッ。

やっぱり何か物足りない。ひょっとしてコレ、真アジじゃなくて青アジ

アジにはいろいろな種類があります。個人的な意見ですが、真アジに比べると、青アジは味が劣ります。弁当のラベルに書かれた原材料名では、単に「鯵」と表記されていたので、真アジか青アジかは不明。ただ……この切り身の感じは真アジだと思います。切り身だと判別が難しいですが。

今度はすし飯・針ショウガと一緒に食べてみます。

おお!
格段に美味くなった

すし飯とアジ(と薬味)を一緒に食べると美味しさ倍増。一体感が良い感じで、すごくしっくりきます。

すし飯だけでなく、ネタだけでもなく、すし飯とネタを一緒に「寿司として」食べるのが、寿司の美味さを味わう方法である。それを改めて理解しました。

なに当たり前のこと書いてんだ、と思うでしょうが、シャリからネタを剥がして食べる輩とか、いるじゃないですか? 私もさっき同じことをしましたが。

ワサビやレモンは疑問手 個人的にはショウガ一択

先ほど書いたように、ワサビやレモンも添えられている本品。味変のため、まずワサビを使ってみましたが……「これ違う」感が拭えません。

そしてレモン。これは不要。とっ散らかった印象になり、味を破壊する悪手だと思います。単なる飾り以上の役割は、期待しない方がいいでしょう。

私の結論は、ショウガ一択。

それから、もう少し米が欲しい。すし飯が途中でなくなって、アジが余ってしまったので……。先ほども書いたように、すし飯とアジを一緒に食してこそ美味い。アジは1~2切れ減らしていいので、すし飯増量の方が嬉しいと感じました。

ごちそうさまでした。批判的な内容も書きましたが、味自体はバッチリです。アジだけに。これを食べるために、修善寺まで足を運ぶ価値は十分あると思います。

【余談】アジ談義

あとは余談。偉大な魚・アジについて語ります。

アジにはいろいろな種類があります。先ほど「青アジは真アジに若干劣る」などと書きましたが、青アジは、真アジに比べて旨味が薄いのと、血合いが多いのがマイナス評価。青アジを刺身で食べてみたら、美味しくなくてガッカリした経験が複数回あります。

高級魚のシマアジも、サクッモチッとした食感は良いですが、旨味という点では真アジに軍配が上がると思います。総合的には、真アジが一番好きですね。

刺身用アジを買ってきたときは、何のメニューにするのか毎回迷っちゃいます。刺身にしてよし、薬味を加えてタタキにしてよし、味噌を加えた「なめろう」も美味い。

三枚おろしした後の骨を油で揚げる骨せんべいも最高。骨せんべいを作れるのが、一匹買ってきて自分で捌く醍醐味です。

生食できない加熱用アジも、ドンと来いです。千葉の郷土料理・さんが焼き。ひと手間かかりますが、南蛮漬け。ウチの娘はアジフライが大好き。三枚おろしで作るのが、我が家の特徴です。

どれもこれも、酒のつまみに最高。アジは偉大です。

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上田駅のラーメン屋『麺将武士』 アッサリ醤油「幸村」と濃厚豚骨「左近」を食べ比べ

『ラーメン発見伝』というマンガをご存じでしょうか?

ラーメン発見伝(1) (ビッグコミックス)

ラーメンの知識や技術に長けた主人公・藤本浩平が、ラーメンに関する様々なトラブルを解決していくストーリーです。まあアレです、『美味しんぼ』のラーメン特化版みたいな内容と思ってもらえれば。主人公の藤本クンは、美味しんぼの山岡さんに相当します。

この手のマンガは、しばしば飲食店を舞台にします。登場する店は、基本的に空想の存在ですよね。

ところが、まれに現実世界の店が、マンガ内に登場することがあります。

ラーメン発見伝では、長野県の上田駅に店を構える『麺将武士』(読み方:めんしょうもののふ)というラーメン屋が登場しますが、この店は実在します。

マンガで読んでから「この店、行ってみたいな~」と思っていましたが、実は先日、訪れる機会がありましたので、食レポをするのが今回の記事です。

上田駅のラーメン屋『麺将武士』がマンガ内に登場

ラーメン発見伝では、どういった経緯で『麺将武士』が劇中に登場したのでしょうか?

──ラーメン好きの主人公・藤本浩平は、商社に勤めるサラリーマン。会社では、主に飲食関係の仕事をしています。ある日、藤本クンの会社に、「長野のご当地ラーメンを創りたいので手伝ってほしい」という仕事依頼が舞い込みました。

藤本クンは、長野県のラーメン事情をリサーチするため出張します。ヒロインで同僚の佐倉サン(=美味しんぼの栗田さんに相当)と、今話のゲストキャラ・高城サンも一緒です。

3人がリサーチの一環で訪れたのが、上田駅に入居するラーメン屋『麺将武士』です。

長野県の上田駅

藤本クンたちが入った店に、私も入ってみましょう。カウンター席・テーブル席・座敷があります。居酒屋のような雰囲気が漂っていました。

いや、実際、居酒屋に近いかもしれません。ラーメン以外に、一品物・アルコール類・定食類も豊富です。ラーメン屋ではなく、中華料理屋と呼んだ方が適切な気がします。

アッサリ味「幸村」と濃厚味「左近」が同時に味わえる

席に座ってメニュー表を眺めます。券売機方式ではなく、口頭で店員さんに注文するスタイルです。

マンガ内では、アッサリ醤油ラーメンの「幸村」と、濃厚豚骨ラーメンの「左近」が紹介されていました。私も、この二つを食べることにします。

なに? お前はラーメン2杯も食べるつもりかだって? いやいや、そんなわけないっしょ。実は、この店には嬉しいメニューがあります。「幸村」と「左近」の食べ比べです。

左がアッサリ醤油・幸村 右が濃厚豚骨・左近

こんなの初めて見た。細胞分裂直前のような形をした面白い丼に、「幸村」と「左近」の両人気メニューが盛られています。ありそうでなかった発想です。

まろやかな「幸村」 しっかり美味いと思わせてくれる

いざ実食。まずはアッサリ味の「幸村」からいただきます。ちなみにマンガ内では、「幸村」を食べた佐倉サンが、こう感想を述べていました。

この「幸村」、凄く美味しいです!!
いろんな素材の旨味を白醤油が優しく包み込んでいるような味わいで……

『ラーメン発見伝』第204話より抜粋

さて、私の感想。

この「幸村」、凄く美味しいです!!
いろんな素材の旨味を白醤油が優しく包み込んでいるような味わいで……

パクリ? 人聞きの悪いこと言わないでください!(怒) ラーメンの味、マジで佐倉サンの言う通りなんですよ。たまたま感想が被っただけです。

「優しく包み込んで」の表現なんか、ドンピシャ。塩分のとげとげしさが全然感じられず、まろやかなスープです。ガツンと来るパンチ力はないものの、しっかり「美味いっ」と思わせてくれます。

魚介の風味が立っていますが、露骨に魚介魚介しておらず、ほどよいところで抑えられた、バランスの良いスープとの印象を受けました。麺ともよくマッチしており、んーッ、美味しい。

逆に言うと、物足りなさを感じる人もいるかもしれませんが。

濃厚豚骨の「左近」 後味がクドくないのが良い

続いて、濃厚豚骨の「左近」を食します。マンガ内で「左近」を食べたのは、ゲストキャラの高城サンでしたが、彼は次のように述べていました。

ボクの頼んだ、トンコツ味の「左近」もイケますよ!
コクはしっかりあるけど、全然クセはなく、後味はスッキリです!

『ラーメン発見伝』第204話より抜粋

さて、私の感想。

トンコツ味の「左近」もイケますよ!
コクはしっかりあるけど、全然クセはなく、後味はスッキリです!

パクリ? 違うって言ってるじゃないか!(怒)

ドロリとしたスープは濃厚で旨味たっぷり。しかし、変に口の中に残ることはなく、無駄に引っ張らない。高城サンの「後味はスッキリ」という表現は、やはりドンピシャ。

そのため、「左近」の直後にアッサリ味の「幸村」を食べても干渉が起きません。だからこそ、食べ比べが成立するのだと思います。

麺との相性もバッチリです。加水率低めで歯切れのよい細麺は、豚骨スープと一緒にすすると美味しい。

試しに、レンゲに「左近」のスープをよそい、そこに「幸村」の麺を付けて食べてみましたが……ミスマッチでした。いくらスープが良くても、麺との相性が悪ければ台無しになることが、改めて理解できました。

もう一つ実験。レンゲを2本使って、両方のスープを混ぜて飲んでみましたが……焦点がボケた中途半端な味になりました。

具は普通 スープと麺が美味いだけに落差を感じる

というわけで、「幸村」も「左近」も、スープと麺は美味しかったです。

正直言うと、具がちょっと……。

具は両者共通で、ネギ・チャーシュー・メンマ・味玉・海苔でしたが、これは普通だなぁと思いました。不味くはないですよ。ただ、「とりあえず載せとけ」的な無造作感が漂っているというか……。高レベルのスープと麺に、置き去りにされている気がします。

もっとも、スープと麺が美味いからこそ、具の落差が目立ってしまい、こういう感想が出てくるわけですが。

ちょっと批判的な内容も書きましたが、総合的には満足の一杯です。個人的には、「左近」の方が好みかなと。

なお、食後の会計はセルフ方式です。伝票に書かれたバーコードを会計機に読み込ませ、表示された金額を払うやつです。ごちそうさまでした。

【余談】真田「幸村」と「信繁」のどちらが正しいのか?

ラーメンの話はここまで。あとは余談。戦国時代ネタです。

アッサリ醤油ラーメン「幸村」は、地元出身の真田幸村からとったものですね。この真田幸村ですが、「幸村の名前は後世の創作で、本当の名前は信繁」というのが、近年の一般論です。

まあ実際、信繁が正しいのでしょう。ただ、幸村と名乗っていた時期も確かにあったのでは……と個人的には思います。

真田一族が、関ケ原合戦の際に東西に分かれた話は有名です。石田方に、父・昌幸と次男・信繁。徳川方に長男・信幸。で、結果はご存知の通り。昌幸と信繁は、紀伊国(現在の和歌山県)九度山に流されました。

徳川方についた信幸は、戦後に「信之」と改名します。改名の理由は諸説ありますが、とにかく真田家の通字「幸」を捨てています。

長男が「幸」の字を捨てて、たぶん昌幸はガッカリしたはず。そこで、信繁が昌幸を気遣って、自分が「幸」の字を受け継いで幸村と名乗ったのではないか──との説もあります。

ただし、その場合でも、幸村の名乗りは家族内だけのものであり、対外的には信繁のままだったのではないでしょうか。

というのは、昌幸と信繁は、数年経ってほとぼりが冷め、信之がとりなしてくれれば上田に戻れる、と期待していたかもしれません。
(もちろん、上田に戻っても城には入れないでしょうけど)

しかし、徳川に仕えた兄・信之が捨てた「幸」の字を使えば、「なんだコイツ」と徳川の心証を害する可能性があります。それはマズいと考えるでしょう。

結局、昌幸と信繁は上田に戻れず、九度山に押し込められたままでした。そして、信繁は大坂の陣で徳川に敵対します。もう徳川に遠慮する必要がなくなったわけです。そこで、リベンジ戦に挑む心機一転も兼ねて、家族内だけの名前だった幸村を正式に名乗った──

個人的には、こう考えるのが一番しっくりきます。

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姫路駅「明石焼風たこ焼き」 ソースを付けて出汁にドボッが美味しい

広島焼きのことを「お好み焼き」「広島風お好み焼き」などと言おうものなら、広島出身者から叱られるのではないでしょうか。「広島焼きとお好み焼きは別物だっつーの。混同すんな」と。

これと似たようなのが、たこ焼き明石焼き(玉子焼き)。

この二つを混同しようものなら、大阪人と兵庫人、双方から迷惑がられると思います。たこ焼きはたこ焼き、明石焼きは明石焼き。両者は別物。もし「明石焼風たこ焼き」など言おうものなら、なんやねんそのどっちつかずの中途半端は! と突っ込まれるでしょう。

ところが……その中途半端を許されている存在が、兵庫県の姫路駅にある。しかも、半世紀も昔から。

姫路駅の地下街に昔からある「明石焼風たこ焼き」

現在は消滅してしまいましたが、かつて姫路駅には地下街があって、そこで食事ができました。いや、地下街は現在もありますが、これはリニューアルオープンしたもの。私が言っているのは姫路駅の「旧」地下街です。

あ、私は姫路っ子じゃないです。ただ、姫路は親戚の家へ行くときの通り道で、子どもの頃から何度も降りていました。

そして、姫路駅で降りると必ず地下街へ行き、家族みんなで食べていたもの。それが「明石焼風たこ焼き」です。これを食べるのが姫路旅の楽しみでした。

私にとっては、子ども時代の懐かしい味なのです。

先ほども書いたように、かつて存在した姫路駅(旧)地下街は消滅。しかし、明石焼風たこ焼きを出す店は移転して生き残っており、現在でも「昔からの味」を食すことができます。

店の名は『姫路タコピィ』。姫路駅の中央改札口から徒歩2~3分です。初見だと少し迷うかも。

柔らかい + 出汁で食すところが明石焼き風

タコピィは、券売機で食券を買う方式です。紙ではなく、プラスチック製の食券が出てくるのがレトロ。私のような年代だと、ノスタルジー感じちゃいます。

食券をオバチャンに渡しましょう。人気商品なので供給が追い付かず、待たされることもありますが、たこ焼きの調理作業を眺めていれば退屈しないと思います。

最後の盛り付けが面白いです。

餃子だと、フライパンにお皿をかぶせ、ひっくり返して直接お皿に盛り付けるワザがありますよね。この明石風たこ焼きも同様に、上から皿を押し当て、鉄板をひっくり返します。

10個のたこ焼きが、わりと等間隔に盛り付けられているのは、そのため。

明石焼き風ということで、お椀に入った出汁も供されます。味はカツオベースです。

たこ焼き本体は、明石焼きほどフワフワではないですが、柔らかいです。生地に卵を多く入れてあるのでしょう。下手に持ち上げると崩れます。しかし、たこ焼きらしい適度な固さもある。「明石焼風たこ焼き」とは、言い得て妙ですな。

出汁にソースが溶け込んで味変していくのが美味しい

さて、この明石焼き風たこ焼き、どうやって食せばよいか? 出汁が提供されますが、机の上にはソースも置かれており、刷毛で塗れるようになっています。したがって、

  • 普通のたこ焼きのように、ソースを付けて直接食べる
  • 明石焼きのように、出汁に入れて食べる

この二つの食べ方が考えられます。実際、最初の方は、これでいいでしょう。ただし、ある程度食べ進めたら、次の方法をオススメしたい。

  • たこ焼きにソースを付けてから、出汁にダイブさせて食べる

ソースを付けたたこ焼きを出汁にinさせる? うわっ変な食べ方。カツオが効いた上品な出汁にソースが混ざったら、良い香りがケシ飛んで台無しだろう。下品だ!

そう思った人。

ハァ……(溜め息)
やれやれ、何もわかってないな
┐(´д`)┌

『ドラゴンボール』の人造人間17号が、わざわざ時間のかかる方法で目的地に行こうとして「時間のムダ」と指摘されたときに、「そのムダが楽しいんじゃないか」と言っていた。これを拝借して主張させてもらう。

その下品が美味しいんじゃないか

ソースが混ざることによって、お上品さが漂っていた出汁はチープに変身するが、それが美味しい。その出汁をすすりながら、浸したたこ焼きを「飲む」。そう、たこ焼きは飲み物だったのです!

食べ進めるにつれ、出汁に溶け込んだソースがだんだん増えていき、味が変わっていく。これこそが、たこ焼きでもない、明石焼きでもない、明石焼風たこ焼きの醍醐味。

個人的には、ソースをたっぷり塗ることをオススメします。上の写真くらいでは控え目だと思っていいです。もう遠慮なくやっちゃってください。

姫路駅は新快速の拠点ということもあり、青春18きっぱーのような在来線長距離客が多く降りる駅です。接続の時間が取れるスケジュールなら、改札を出て、ぜひ明石焼風たこ焼きを食べに行っていただきたい。

曜日や時間帯によっては行列ができて時間が読みにくいですが、姫路着時刻 → 次に乗る列車の姫路発時刻まで50分くらいを見とけばOKだと思います。

【昔話】たこ焼きと御座候が隣り合っていた旧地下街時代

たこ焼きの話はここまで。あとは姫路の余談。

「姫路駅のグルメを挙げよ」と言われたときに、御座候(大判焼き)を思い浮かべる人、います?

この御座候も、姫路を代表する名物です。旧地下街の頃は、たこ焼き売場の横で、御座候が焼かれていました。「隣同士」だったわけです。甘い物が好きな私の父親は、たこ焼きを食べたあと、御座候をお土産に買っていました。

旧地下街がなくなったあと、御座候の店は改札内に移って営業しています。

明石焼風たこ焼きと御座候。現在は隣同士ではなくなりましたが、私にとっては両者でワンセットのイメージが未だにあります。

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希少米を使った米粉パン専門店 法華口駅『モン・ファボリ』

兵庫県のローカル線の一つ・JR加古川線。その途中に位置する粟生(あお)駅からは、北条鉄道が分岐しています。国鉄から継承された第三セクター鉄道です。

写真左:JR加古川線 写真右:北条鉄道

北条鉄道、なかなか厳しい地理環境に置かれており、経営は赤字となっています。みなさん、ぜひ乗りに行って売上に貢献してあげましょう。

そうは言われても、特に目的がないまま、ただ乗りに行くだけってのはなぁ。

そう思った人、北条鉄道の法華口駅に入居しているパン屋『モン・ファボリ』を訪れる旅、というテーマで乗車してはいかがでしょうか。

「野条穂」を使った米粉パン専門店が駅舎内に まさにオンリーワン

法華口駅構内にあるパン屋『モン・ファボリ』。外から見ただけでは、パン屋の存在に気付きにくいと思います。地元でも、案外知らない人がいたりして……。

北条鉄道・法華口駅。ぶっちゃけ、この中にパン屋があるようには見えない

ローカル線の駅舎にパン屋。これだけでも面白いですが、このお店には、もう一つ特徴があります。米粉パンの専門店なのです。

さらに──この店で使用している米は、「野条穂」という品種だそうです。これは酒造用の米とのこと。ご存じのように、日本酒の原料が米ですね。

酒造には、それに適した米が存在します。酒造好適米と呼ぶのですが、酒造りだけでなく、実はパン作りにも適しているそうです(→青森県庁のレポート)。

代表的な酒造好適米が「山田錦」です。山田錦に比べると、『モン・ファボリ』で使用している野条穂はマイナーで希少な米らしいですが、そこも注目ポイント。

  • ローカル線の駅舎内
  • 米粉パン専門店
  • 希少米「野条穂」を使用

この条件を満たす店が、はたして他にあるでしょうか。おそらく、ない。まさにオンリーワンのパン屋といえるでしょう。

きまぐれサンドはボリュームたっぷり たこピザは昔から人気の一品

とまあ、情報をズラズラ並べたてましたが、私は情報を食べに来たわけではない。肝心なのは味です。米粉パン専門店の実力はいかに? あくまで個人的な印象ですが、小麦粉パンに比べると、米粉パンには以下のような特徴があると思います。

  • 焼き目(外側の皮とか)の部分はサクッと歯切れがよい
  • 中はもっちり重い感がある
  • しっとり感やフンワリ感には欠ける

このあたりの長所・短所がどのように制御されているのか。私が選んだパンは、以下の通りです。

写真左から、きまぐれサンド(450円)、やきいもパン(200円)、たこピザ(170円)です。

きまぐれサンドは、ボリュームたっぷりが魅力。やきいもパンは、甘い系が一つ欲しかったので。たこピザは、変化球っぽいところに興味を惹かれました。確かポップに、「創業当初から人気です」的なことが書いてあった気がします。

駅のベンチに座り、米粉パン祭り開始です。先発は、きまぐれサンド。きまぐれサンドは種類が複数あり、私が選んだのは、ハム・マヨネーズたまご・レタスが挟まれたやつ。

まずはパンだけ齧ると、あー、いかにも米粉パンだ。ところが不思議なことに、具と一緒に食べると、小麦粉パンとの違いがほとんど分からなくなります。なぜだ。中に詰め込まれた具は、かぶりつくと溢れそうになるぐらいタップリなのが嬉しい。

ていうか実際溢れた
マヨたまがホームに落ちた

すみません orz
そのへんの落ち葉で包んで、土の上に置きました。みなさんも、食べるときは気を付けてください。

同じ具材を小麦粉パンで挟んだものと、どちらが美味しいか? ……うーん、難しい。先ほど書いたように、ほとんど味に差異が見出せません。好みとしか言いようがないでしょう。

続いて中継ぎは、たこピザ。薄く伸ばされて焼かれた米粉生地の上に、半球状のたこ焼きがトッピングされています。おかか・ソース・マヨネーズがあしらわれ、ピザと名付けられているものの、チーズはのっていません。

薄い形状の米粉パンは、ピザのようなサクッではなく、どちらかと言えば煎餅的な雰囲気が感じられました。美味いは美味いです。ただ、たこ焼きと米粉パン、相乗効果は……あるのか? あえてくっつける(合体させる)意味は、さほどない気がします。

やきいもパンは米粉「だからこそ・ならでは」の美味しさがあった

食べたことのある人ならわかると思いますが、米粉パンって、一旦しぼむ(へこむ)と潰れたままで元に戻りにくいですよね。ふんわりふっくら感は小麦粉パンの方が上であり、そこをあえて米粉を採用する以上は、米粉「だからこそ・ならでは」が欲しいところ。

ようするに、どう米粉の特性を活かすか? という話。

個人的には「米粉パンだから美味しい」には出会ったことがなく、いま食べた二つのパンも、正直その例外ではなかったと思います。米粉パンって難しいなぁ。

……などと思いながら食べた最後のやきいもパン

これは外側がこんがり焼けているタイプではなく、全体が柔らかいのですが、

おおっ!?
こいつは美味いぞ

紫芋のパウダーが練り込まれた生地、中には芋ペースト。米粉パンのもっちり重い感じが、ぽってりした芋ペーストとよく合っていると思いました。芋パン自体は珍しくないですが、生地が小麦粉から米粉に変わっただけで一味違う気がします。

これぞ米粉の特性を活かしたパンではないでしょうか。初めて「米粉パンだから美味しい」に出会えた気がします。ごちそうさまでした。

素人の仮説ですが、米粉は甘い系統のパンと相性が良いのかもしれません。甘いクリームや餡子には、ある種の「重さ」がありますよね。ふわっと軽い小麦粉ではなく、もっちりした米粉の方が、クリームや餡子の重さを適切に受け止めてくれる……という可能性です。

となると、気になるのが購入しなかった他のパン。確かチョコドーナツや蜂蜜入りパンも売っていたはず。買っときゃよかったなぁ。次に行く機会があったら、甘い系統のパンに絞ろうと思います。

【補足】初見では戸惑うかも 粟生駅での乗換方法

グルメ話はここまで。あとは補足情報。

『モン・ファボリ』を訪れてみたいと思った人へ。JRと北条鉄道の接続点・粟生(あお)駅での乗換方法について、こちらの記事で説明してあります。というのは、粟生駅での乗換方法はやや特殊で、鉄道に詳しくない人は初見だと戸惑うかもしれないので。

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『淡路屋』の駅弁「神戸のステーキ弁当」 冷めている状態では不味い

『淡路屋』といえば、関西を代表する駅弁製造業者です。駅構内にとどまらず、百貨店や高速道路のサービスエリアなど、かなり広い範囲で弁当販売を手掛けています(→公式ホームページ)。

大手業者だけあって、駅弁のラインナップも豊富。幕の内系があれば中華系もあり、有名な「ひっぱりだこ飯」のように一捻り加えた弁当もある。そして、豪華の象徴ともいえる牛肉系弁当も複数取り扱っています。

その牛肉系弁当の中でも、お客さんの目を最も引くと思われるのが、今回紹介する「神戸のステーキ弁当」です。

西明石駅の売店で購入

昔と違って、ステーキは気軽に食べられる時代になりましたが、それでも「ステーキ」という単語には一定のプレミアム感があります。どの弁当を選ぶか散々迷った末に、ステーキという響きが決定打となって、これを買う人は少なくないと思います。私のように。

白く固まった脂に硬い食感 冷めたステーキが美味いはずなかった

「神戸のステーキ弁当」のお値段は税込1,250円です(2023年現在)。ネーミングからは神戸ビーフ(神戸牛)を連想させますが、まあ神戸ビーフは使っていないでしょう。

もし神戸ビーフだったら1,250円は安すぎます。それに、神戸ビーフを使っているならば、神戸ビーフ(神戸牛)という文言を商品名に入れた方が販促上絶対に有利。神戸ビーフという文言が入っていない = 使っていないと考えて間違いありません。俺は騙されないぞ。

しかし、神戸ビーフではないとはいえ、ステーキというメニューに心躍ることは変わりません。期待を膨らませながらオープン。

けっこう肉が入っているのが嬉しいですね。もし肉の量をケチっていたら、味わうまでもなく見た目の段階でゲンナリしますが、この弁当にケチくさい雰囲気は一切なし。

付け合わせは、ブロッコリー・とうもろこし・揚げたポテト・人参・ピクルス。いかにも「僕たち! 私たち! ステーキのお供です!」感が出ており、場を盛り上げます。

いざ実食、いただきます。まずは当然、ステーキから。

( ^ω^)モグモグ

( ^ω^)……!

( ; ^ω^)……

こ、これはアカンぞ~
(# `ω´)

なぜ実際に食すまで、こんな簡単なことに気付かなかったのか。俺は阿呆だ。

冷めたステーキが美味いはずなかった

冷えて白く固まった脂が肉にまとわりついており、口に入れた瞬間に早くもマイナスポイント。肉も冷めているので硬く、お~美味いなぁという感想がまったく出てきません。

付け合わせも残念。揚げたポテトはモソモソ。ブロッコリーや人参も、ステーキほど「アカン!」という感想はないものの、美味しくはない。

肉も付け合わせもベストでないのは明らかです。

いや、駅弁にベストの状態を求めるのも変な話ではあります。が、駅弁は温かくない状態で食すのが前提ともいえますから、そのへんの事情は織り込んだうえで商品開発や調理をしてもらいたいなぁ、というのが本音です。

もういいや、ぶっちゃける。冷めた状態では不味い。

真夏だったら、持ち歩いているうちに良い感じに温かくなって、美味しく食べられるかもしれません。しかし、それに期待するようでは変でしょう。冬だったら悲惨なのは間違いなし。

そもそも論ですが、駅弁でステーキを提供するという構想自体が若干無理筋なのかもしれません。店の看板を傷付けるリスクを冒してまで、無理に販売を維持する必要はないのでは、と思います。

温めて食べるならば買うのはアリかもしれないが……

ところで、ステーキを食べた後に、付け合わせのピクルスを食べると……

ハンバーガーだ

牛肉 + ピクルス。脳が勝手にハンバーガーの味を口内に再生しやがる。ケチャップやバンズの味まで想像できてしまう。それを打ち消すため、ステーキの下に敷かれている米を食します。むっ、このピラフ的なのは冷めていても美味い。

しかし、次の一口では冷めたステーキという現実に引き戻される。わびしい気持ちになりながら、それでも完食しました。ごちそうさまでした。

うーん、この弁当、やはり冷めたままだと条件が悪すぎます。デパートやスーパーの駅弁大会で購入し、家に持ち帰って温めて食べるならアリかなと思います。冷めたまま食べるのが前提で買うのは、まったくオススメできません。1,250円は、もっと有意義なことに使うべきでしょう。

普通に看板商品「ひっぱりだこ飯」を選べばよかったなぁ……と後悔。冒頭でも書きましたが、ステーキというと、やはりある種の特別感があるだけに、ダメだったときの落差が余計に目立ちます。

商品名も不適切だと思う 「淡路屋のステーキ弁当」にすべきでは

ここまで批判したついでに書きますが、「神戸のステーキ弁当」という商品名もいかがなものかと。

淡路屋の本拠地が神戸なので、「神戸のステーキ弁当」と称しているのでしょう。しかし、下手をすると「神戸ビーフを使った弁当」と勘違いされかねません。その場合、「神戸ビーフって、この程度なの!?」と思われ、神戸ビーフの評判にまで影響が及ぶ可能性があります。

商品名は「淡路屋のステーキ弁当」でいいのではないでしょうか。

鉄道グルメ関連の記事で、不味いと書いたのは初めてです。ただ、このブログは営利目的で運営しているのではなく、特定の個人や団体とも利害関係は一切ありません。完全に私の趣味です。だからこそ正直・本音をモットーとしており、提灯記事やヨイショとは無縁のスタンスを貫いています。そのため、こういう内容になる場合もあります。

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岡山駅の駅弁「桃太郎の祭ずし」 個性的な容器だけでなく多彩な具も楽しい

岡山といえば桃、桃といえば桃太郎、桃太郎といえば祭り(?)。

まさにこれらを体現しているのが、岡山駅に存在する駅弁──その名も「桃太郎の祭ずし」です。酢飯の上に様々な具がのった豪華ちらし寿司。

今回の記事は、この駅弁の食レポです。

桃の形・ピンク色の容器が駅弁に個性を付与している

岡山駅で弁当販売をしているのが、地元の老舗業者『三好野本店』です。岡山駅構内に土産物屋も出しています(→公式ホームページ)。

個人的には、三好野本店の駅弁ラインナップは好きですね。いや、冷静に眺めると、すごく特徴的なものが揃えてあるわけではないです。が、弁当のネーミングや使用食材、容器の形など、ちょっとしたところで光るものが感じられ、それが好きなのです。

多くの魅力的な駅弁の中でも、「桃太郎の祭ずし」は昔から販売されており、三好野本店を代表する駅弁といえるでしょう。2023年6月現在、お値段は税込1,100円。

日本人なら誰もが知っている桃太郎、それを全面的に打ち出したパッケージ。そして、さらなるインパクトを与えてくれるのが弁当容器。

桃の形。めっちゃピンク。ドピンク。これほど強烈な駅弁容器は、なかなか存在しないと思います。かの有名な「峠の釜めし」同様、容器自体が駅弁に個性を付与しているケースでしょう。

具の調理法・味付け・食感が多彩で美味しい

しかし、肝心なのは外見ではなく中身。これだけグイグイ攻めた外見をしておいて、中身が残念だったら悲しいぞ。ではオープン。

おお~キレイ。いろいろな具が入っていて期待が膨らみます。食べる前から、「この駅弁は美味い」という信号が脳に送られたも同然です。視覚によって味覚を刺激できる好例ではないでしょうか。

そして実際、味は期待を裏切りません。酢漬けにされた鰆・ママカリ・蛸。ママカリと蛸は岡山名物として有名ですが、実は鰆も岡山を代表する魚なのです。

醤油系統の味は、アサリ煮と椎茸煮の役割。そして焼き穴子も。

センターには海老が位置します。「日本人にとって海老は豪華の象徴」との説を読んだことがありますが、その傾向は現在よりも昔の方が強かったでしょう。海老がど真ん中に鎮座しているのが、昔から販売されている歴史の長い駅弁であることを示している……ような気がします。

漬物が入っているのも助かります。酢漬けに酢飯、醤油煮や錦糸卵など、基本系統は「甘」なので、しょっぱさがあるとバランスが取れます。

そして地味にいい仕事をしているのが、コリコリ食感の筍と蓮根です。ちらし寿司の特性上、魚にアサリ、海老や椎茸など、どうしても柔らかめの具が多い。硬い食感があると良いアクセントになり、弁当全体を引き締めてくれます。

漬・焼・煮
酢・醤油
甘・塩
柔・硬

単に具の種類が多いだけでなく、調理法や味付け、食感が賑やかで、そういう意味での多彩さが評価ポイントだと思います。さすが老舗業者の名物駅弁、美味しかったです。ごちそうさまでした。

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